(提供:嵯峨釈迦堂所蔵/アフロ)

ついに決まった新社長

「やはり“家康”になったか……」

 Xさんはひとり、深くうなずいた。すでにリタイアして60代後半ではあるが、かつて働いた会社の今回の社長交代には、とりわけ感慨深いものがある。

 執行役員まで務めて、すべての役職を退いてからはまだ3年ほどだ。いやでも、会社の情報はいろいろと入ってくる。そして、ここ最近は「次期社長」をめぐる話が、OBなどの間でも話題になっていた。

 その会社は、産業材のB to Bを手掛ける伝統的な企業だった。Xさんは営業畑の出身で、今回の社長候補全員と、キャリアの中で何らかのかかわりがあった。そして、誰ともなく、ほぼ同年代の有力候補3人を、「信長」「秀吉」「家康」と呼ぶようになっていた。

 そして、今回社長になったのは「家康」だ。「信長」、「秀吉」との勝敗を分けた「Y字路」はどこにあったのだろうか。Xさんには、「やはりあの時」という分かれ目が、クッキリと見える。

 そして、キャリアをめぐる3人のドラマを改めて思い起こすのだ。