アイリスオーヤマグループ工場(宮城県)の精米機。低温で精米し、食味の良い白米を国内外で販売する
アイリスオーヤマグループ工場(宮城県)の精米機。低温で精米し、食味の良い白米を国内外で販売する

 アイリスオーヤマは、農業に「マーケットイン」の発想を持ち込んだ企業の代表例だ。仙台市の農業生産法人と共同出資会社を設立し、2013年にコメの生産販売に乗り出した。

 コメは家庭で保存食という性格が強く、これまでは5kg~10kgなど大きな容量で販売するのが一般的だった。量が多いため、食べ切るまでに時間がかかる。買った直後は良くても、時間がたつにつれて酸化が進み、味が落ちる問題点があった。

低温で精米、販売は小分けに

 アイリスオーヤマは販売方法を改め、コメを1パック2~3合(300~450g)と一度で食べ切る量にして売り出した。加えて工場では、保管から精米、包装まで全ての工程を15℃以下で行う。低温を維持して熱によるコメの酸化を防ぎ、パックには脱酸素剤も入れることで、鮮度を保ったまま食味の良い白米を作り上げた。

 2015年にはマレーシアへの輸出も始めた。日本人駐在員が多く和食ブームも高まっているが、日本からのコメ輸出量が香港、シンガポールなど他のアジア地域に比べるとまだ少なく、今後の伸びが期待できると判断した。

 実際、店頭でも好評だ。マレーシアの首都クアラルンプールにある伊勢丹のKLCC店。地下の食品売り場の目立つ場所にアイリスオーヤマのコメが並べられている。三越伊勢丹ホールディングス現地法人の担当者は「現地の富裕層が売り上げの3割を占めるようになった。白米に合う、のりや佃煮なども売れる」と話す。

 アイリスオーヤマは2016年、マレーシアに300tの輸出を計画している。マレーシアは現在、日本のコメに対して40%の関税をかけているが、TPP発効から11年目には撤廃する方針。販売価格の低下につながり、輸出増につながりそうだ。

 アイリスオーヤマのコメは、米国ハワイ、カリフォルニアの日系スーパーでも取り扱いが始まっており、輸出先をさらに広げる考え。電子レンジで温めるだけで食べられるパックご飯や、餅など、調理の手間が少なく済む商品も売り込む方針。大山健太郎社長は「海外でも時間をかけてコメ食文化を普及させたい」と意気込んでいる。