50~70代の重視は変わらず

マーケティングに関しては、テレビCMに長く福山雅治さんを起用しています。消費者に対するイメージの訴求は「王道」ではありますが、その一方で「保守的」な部分が見えてしまうことはありませんか。かつては「革新性」を体現しているブランドだったと思うのですが。

小路:30年がたったロングセラーブランドが目指すべきは革新性ではなくて、付加価値の高さをどう認識してもうかということだと私は思います。あまりに革新性を訴え過ぎれば、新しい消費者は少し入ってくるかもしれませんが、従来の消費者は皆離反してしまいますよ。他社と違うことをやっても、共感性が得られなければ事業としての価値はありません。

 収益性を常に高めており、その収益性はブランドの付加価値によって高まっている。その付加価値はロングセラーとして、ロイヤルユーザーがしっかりついている。そうしたブランディングのメカニズムを無視して単に革新性や差別性を目的にしてしまったら、ブランドもぐしゃぐしゃになってしまうと思います。

ロングセラーのブランドについては、そのブランド価値の継承も大きなテーマです。現在の主要顧客の他に、若者ら新たなユーザーをどのように獲得していきますか。

小路:仮にスーパードライの発売当初、20歳で飲んだ人は今50歳ですよね。まず、スーパードライを飲み続けていただいている元気な50代、60代、70代の方々は、マザーマーケットです。ここの支持層を失ったらスーパードライの屋台骨がなくなってしまう。このマーケットを失わないように、商品戦略と世代交代戦略をうまくやっていかなくてはなりません。

 しかし、今の20代はお酒にお金を使うことに対して非常に消極的ですから、無理やり買ってもらうというわけにはいかない。どうするかというと、情緒的な部分も含めて、ビールの味や価値を伝えるということですよね。それはピンクのパッケージなども一つの手段でしょう。味の部分では、若い人に受ける高炭酸の派生商品もそうです。

 もう一つはコト消費との組み合わせ。今年から飲食店で「パーティーサーバー」というのを本格的にやっていきます。これはグループで集まった時などに、各テーブルでお客様自身にビールを樽から注いでもらえるサーバーで、注ぐ楽しさを訴求するというものです。こうした、ポイントを外さない戦略で、じっくり若者に浸透させていくということをやるしかないですね。

国内外ともに、やるべきこと、できることが山積みということですね。

小路:国内外ともに、大事なことは市場が求めているビールがどのようなものであるかを把握し、それに対してどのような商品を提供するか。その上で、2年後、3年後に付加価値の高い収益性のあるブランドにどうやって育てていくかということが重要です。過去を振り返らず前を向いていくのが私の経営戦略ですから。