吹田はアサヒ発祥の地で、現在も主力の製造拠点、吹田工場がある。工場で製造した製品を近くの佐竹食品の本店に直送し、アサヒの営業担当者が工場の作業服姿で店頭に立って販売した。1日限定のイベントだったが、350ml缶の24本入りケースが150ケースも売れた。アサヒの営業担当者が佐竹食品に「何とか販売を増やす方法はないか」と相談し、取り組みが決まった。

 10店規模の地場スーパーと知恵を出し合う愚直な姿勢も、スーパードライの反転攻勢には不可欠だ。佐竹食品の店舗では、3月14日発売のスーパードライの派生商品「エクストラハード」も専用の売り場を設けて積極的に販売した。

 業務用、家庭用どちらの需要を伸ばす取り組みにも、アサヒの営業職員1人1人の力が欠かせない。営業畑が長かったアサヒGHDの荻田相談役は「取引先との信頼関係をどう結ぶかは、スーパードライ発売以前から変わらず、とても重要なことだ。今はこれに加えて、お得意先様の悩み事や課題を、私たちの商品を通じてどう解決するかという提案営業も必要になっている」と話す。

新入社員に付き添う「兄・姉」

 アサヒビールでは新入社員に、入社6~7年目の先輩社員が約半年間、つきっきりで教える「ブラザー・シスター制度」がある。営業担当の社員の場合は、取引先を訪問する際に先輩が必ず同行し、取引先との接し方などノウハウを教えるものだ。

 社内では以前から同様の仕組みはあったが、10年ほど前に体系化。先生役の社員を公募で選ぶ形にした。制度を通じて新入社員に営業ノウハウを身に付けてもらい、先輩社員のキャリアアップにもつなげる狙いだ。「もともと世話好きな人が多い社風で、先生役に立候補する社員が多く、こちらから断る例も多い」(杉中宏樹人事部長)。制度の順調な運用が、業界内でも強さに定評がある営業力の伝承に一役買っている。

 さらに日本を訪れる外国人観光客にスーパードライの魅力を伝え、帰国後にどれだけ愛飲者となってもらえるか。その取り組みも国内の担当者の重要な仕事だ。

札幌市のアサヒビール北海道工場には、東南アジア各国の観光客も多く見学に訪れる(写真:吉田 サトル)

 3月初め、札幌市のアサヒビール北海道工場に、マレーシアなど東南アジア4カ国からの観光客、約160人が訪れた。道内各地の観光ツアーの一部として工場見学が組み込まれた。同工場には昨年、約13万1800人が見学に訪れた。その6割を外国人が占める。マレーシアのほかタイ、シンガポール、インドネシアと東南アジアからの見学客が多い。