日本における女性リーダーの育成は先進国のなかで大きく後れをとっている。企業内でどのような経験を積んだ女性が、役員に就いているのか。どのような「一皮むける経験」がリーダーシップを育むことにつながったのか。キャリアの軌跡をつぶさに辿ることで、企業内での女性リーダー育成のヒントを探る。

 第4回目は、パナソニック執行役員の小川理子(みちこ)さん(55)。高級オーディオ機器「テクニクス」を2014年に復活させた責任者であり、ジャズ演奏家として活動することでも知られる。スポットライトを浴びるまでに、本人いわく「4回の脱皮」経験があったという。その軌跡を辿ってみよう。

小川理子

 1986年慶應義塾大学理工学部卒、松下電器産業(現パナソニック)入社。音響研究所、マルチメディア開発センターでの研究開発を経て、2001年eネット事業本部へ。08年社会文化グループに異動。11年同社理事就任。14年にアプライアンス社でテクニクス復活の責任者となり、15年にパナソニック執行役員に就任。2017年アプライアンス社副社長。現在は技術担当(兼)技術本部長、テクニクス事業推進室長

小川理子さん
キャリアチャート

 高校一年生のとき、小川理子さんは坂本龍馬に心底ほれ込み、京都霊山護国神社にある墓にラブレターを埋めるため足を運んだ。荒廃した墓を1968年に再建したのは松下幸之助であることは、もちろんその時は知る由もない。高校時代から坂本龍馬にひかれるあたり、もともと組織を変革するリーダーの資質があったのかもしれない。

 小川さんが、高級オーディオ機器「テクニクス」を復活させるため、その責任者の命を受けたのは2014年、51歳のときだった。高級ブランドのイメージと、小川さんのジャズピアニストとしての経歴が重なりあい、ブランド価値の向上に一役買うことになる。新製品の発表会では常に華やかな空気をまとい、先頭に立ってプレゼンテーションをする。