日本における女性リーダーの育成は先進国のなかで大きく遅れをとっている。企業内でどのような経験を積んだ女性が、役員に就いているのか。どのような「一皮むける経験」がリーダーシップを育むことにつながったのか。これまで女性役員10人のキャリアの軌跡を追うことで、企業内での女性リーダー育成のヒントを探ってきた。
10人の「一皮むける経験」の共通項、そして男性役員との比較から、見えてきたこととは――。
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1回
みずほ証券
執行役員名古屋支店長
絹川幸恵氏(53) -
2回
日本航空
執行役員東京空港支店長、
JALスカイ社長
屋敷和子氏(60) -
3回
ホンダ
執行役員日本本部営業企画部長
鈴木麻子氏(54) -
4回
パナソニック
執行役員
アプライアンス社副社長
小川理子氏(55) -
5回
カルビー
上級執行役員
事業開発本部本部長
鎌田由美子氏(52) -
6回
キリンビール
執行役員横浜工場長
神崎夕紀氏(55) -
7回
JFEエンジニアリング
常務執行役員
経理部長
馬場久美子氏(52) -
8回
楽天
常務執行役員コマースカンパニー
シニアヴァイスプレジデント
河野奈保氏(41) -
9回
野村証券
専務執行役員
営業部門企画統括
鳥海智絵氏(53) -
10回
高島屋
執行役員法人事業部長
安田洋子氏(58)
(注)年齢は記事掲載時のもの。本文以下同。
女性役員への道のりは、男性と何か違いがあるのだろうか。どのような職場環境が女性役員を育てるのか。
結論から言ってしまおう。女性役員への道のりは、男性のそれと大差ない。もう少し丁寧に言うなら、男性と大差ない経験を積んだ(積むことができた)女性が、生え抜きで執行役員になる時代を迎えている。その第一世代が、今回の連載で紹介した女性役員たちだ。野村証券専務執行役員の鳥海智絵さん(53)であり、ホンダ執行役員の鈴木麻子さん(54)、みずほ証券執行役員の絹川幸恵さん(53)などである。
各社の生え抜き女性執行役員らを取材対象としたところ、その年齢は上記の図でわかるように図らずも52歳、53歳あたりに集中した。1986年に男女雇用機会均等法が施行されて間もなく入社した均等法世代である。しかし、女性総合職一期生ではなく二期生という人が多い。一期生は会社がどう処遇していいかわからず珍獣扱い。風当りも強かった。その先輩らが少しだけ風よけになってくれたおかげで、二期生が生き残ることができたのかもしれない。
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