数年前、30代のベンチャー経営者に言われたことを思い出す。学生時代はラガーマンで、起業するまで紆余曲折があった彼が言うには、何かを諦めた経験のある人は、まだ諦めていない人に昔の自分を重ね、応援したくなるのだという。「だから、僕はいろいろな人に応援してもらえているんだと思います」。

 この4月15日、遠く横浜スタジアムでは、中日ドラゴンズの木下雄介投手がNPB初登板を果たし、1イニングを三者凡退に抑えている。木下投手は2016年に育成選手としてドラゴンズに指名されたとき、徳島ISに所属していた。

もともとは「海南」ファン

 試合終了を待たず、球場を出ることにする。予約しておいた徳島から三宮へ向かう高速バスに乗ろうとすると、そろそろタイムリミットなのだ。

 急ぎ足で駅へ向かうと、来た時に私の前を歩いていた年配の男性もまた、同じ列車に乗るため駅を目指していた。

 徳島IS設立時からチームを応援しているが、もともとは高校野球ファンだというその男性が最初に口にした高校名は、池田高でも徳島商でもなかった。海南高校。現在の徳島県立海部高校だ。日本人で初めてのメジャーリーガーが誕生した1964年に、第36回選抜高校野球大会で初出場初優勝を果たしている。エースはのちにプロゴルファーに転じるジャンボ尾崎こと尾崎将司だった。

 徳島IS球団代表の南さんは、徳島が野球王国だった時代の記憶がある世代に徳島ISを応援してほしいとも言っていたが、いましたよ、心強いファンが。

 この週末、徳島ISは2戦2敗。土曜の観客数は308人、日曜の観客数は215人だった。