その頃から、野球に打ち込む合間を縫って、経営やマネジメントの本を読むようになった。「野村(克也)監督の本もよく読みました」。関西創価高校を経て近畿大学を卒業後は、オーストラリアへ渡って野球をしたのも、「その頃読んだ本に、海外での経験は役に立つと書いてあったから」だという。

オーストラリアで「野球以外」も

 オーストラリアのチームから支給されるのは月額400ドルほどだったという。そのほとんどが、遠征のための交通費に消えた。南は、スポンサー企業を探す傍らで、試合や練習のないときには飲食店でアルバイトをし、生活費を捻出していた。

 本に書いてあったことは正しかった。オーストラリアで野球以外の仕事もした経験は、プロを諦めてから何年かの後、インディゴソックスの選手をうどん店で働かせるという発想につながっている。オーストラリアのように野球がマイナースポーツである地では、野球を続けたければ野球以外の仕事をするのは当たり前だと実感したことが、今の取り組みの下地となっているのだ。今、野球以外のこともして自分の力でファンを増やせと繰り返し語る南に、選手は理解を示しているという。

 その選手のスカウティングでは人柄、そして実力を重視している。近い将来、セ・パのチームからドラフト指名され、チームに移籍金をもたらす選手を獲得し続けていきたいからだ。

 「潜在能力が高く将来性のある子、プロから指名されそうな子をスカウトしていこうと考えています」

 毎年、シーズンの始まりには11月のドラフト候補生を300~400人くらい、リストアップするという。

 「そのうちの上位100人近くは12球団のドラフトで消えてしまうので、実際に狙いを付けるのは、ボーダーラインの選手達になります。ただ、12球団からは指名されなかったとしても、たとえば高校生なら、大学進学、社会人、(関東・北陸・信越などの)BCリーグ、関西(のベースボール・ファースト・リーグ)もあるので、彼らには選択肢があり、こちらは競争となります」

 大学へ進学すると4年間、大学卒業後に社会人へ進むと2年間(高卒社会人の場合は3年間)、12球団のドラフトの対象からは外れるが、独立リーグの場合は通常、1年後でもドラフト候補生になれる。そこに魅力を感じる選手は少なくないという。野球部も大学も辞めた選手が、独立リーグで再び野球に取り組むケースもある。そういった選手の中から、近い将来、12球団、そしてメジャー、韓国や台湾のプロリーグから声がかかりそうな選手を選んでいく。