農村タオバオの店内。この日、店を訪れた蔡南洋(ツァイ・ナンヤン、55歳)さんは、店長の洪雲(ホン・ユン、29歳)さんと相談して絵画を購入していた

農村タオバオが雇用を創出

 3月上旬、臨安市徐村にある農村タオバオを訪れた蔡南洋(ツァイ・ナンヤン、55歳)さんは「農村タオバオが出来る前は、10キロ以上離れた町まで買い物に出かけていた」と話す。日本と比べてスーパーやコンビニエンスストアなど既存の小売りが発展していない中国では、農村部ではモノを買うのも一苦労。それが、農村タオバオが出現したことで、今ではネスレなど海外メーカーの商品まで簡単に購入できるようになった。蔡さんは、「今はここでなんでも手に入るから、町で暮らすのと変わらない」と話す。

 アリババが変えたのは、消費者としての住民の生活だけではない。農村タオバオを運営する人の生活も大きく変えている。

 店長の洪雲(ホン・ユン)さんは以前、杭州市などで働いていたが、結婚を機に臨安市徐村に移り住んだ。出産を経てまた職を得たいと考えていたが、徐村には働き口もない。途方に暮れていた時に見つけたのが、農村タオバオの店主を募集する広告だった。

 サービス業が得意な自分にはぴったりの仕事だ――。そう感じた洪さんは早速、店主に応募する。面接などを経て無事店長になると、自宅から歩いて5分のところにある小さな建物を月100元(約1800円)で借り、店舗に改装した。

 義父の知り合いを紹介してもらい、チラシを配って農村タオバオについて告知。さらに、サービスには徹底的にこだわった。洗濯機の注文があれば客の家まで出向いて自分で設置、店内にはおもちゃを置いて、母親がじっくり買い物できるように工夫した。

 こうした努力の甲斐もあって、今では毎日10数人の客が訪れる繁盛店となった。農村タオバオでは、売り上げと注文件数によって店長に支払われる金額が変わる。洪さんの店は、毎日20件以上を注文する最上位の「スター」店。洪さんの収入は、月2000元(3万6000円)から、多い時には9000元(16万2000円)に達することもある。この地域の平均月収(2700元、4万9000円弱)と比べても遜色ない。