2016年に100兆円を超えるとされる中国のEC(電子商取引)市場。それを牽引するアリババ集団が、ECの利用がほとんどなかった農村の攻略に、猛烈な勢いで動いている。ネット通販で注文した商品の受け取りなどができるサービス拠点数は、既に1万4000。その数を今年中に4万、2019年までに10万に拡大する。狙いは、潜在顧客の開拓だけでなく、雇用の創出や地域活性化など、多岐に渡る。もはや、公的機関が担うような「ユニバーサルサービス」のような役割をも担い始めたアリババは、ECを使って中国が抱える根深い社会問題の解決にまで乗り出そうとしている。

 中国浙江省の州都、杭州市から車で1時間半。竹林を抜け、民家がまばらに並ぶのどかな臨安市徐村に、その店はある。白い壁にオレンジの看板を掲げる店の中には、食品や日用品などが並ぶが、品数は多くない。だが、客はここで、洋服から家電や農薬まで、ありとあらゆるものを購入することができる。

 この店が、中国EC(電子商取引)最大手アリババ集団が手掛けるサービス拠点「農村淘宝(農村タオバオ)」の拠点だ。

農村でのEC普及を目指し、アリババが中国の農村部で展開している「農村タオバオ」のサービス拠点の外観(写真:柳嘉俊/LOOPS、以下同)

 農村タオバオは、アリババが2014年末から中国の農村部に出店を始めた。周辺の住民は、自宅のパソコンやスマートフォンでアリババのECサイトで注文した商品を受け取れるほか、サービス拠点内に設置されたパソコンで店員と相談をしながら買い物をすることができる。

 購入した商品は、早ければ2日後にこの拠点に届く。現在のところ、自宅まで配送していないため、多くの人が仕事帰りに拠点に立ち寄り、荷物を受け取る。サービス拠点には、一部の売れ筋の商品やおすすめの商品などは常に在庫しており、その場で買うこともできる。

 現在は物販が中心だが、今後はローンや保険、投資商品などのほか、医療サービス、さらには、農家が生産物をアリババに出店できる機能なども順次、追加していく計画だ。既に、農村タオバオの現在の拠点数は1万4000に達しており、今年中にその数を4万、2019年までに10万に拡大するという。さながら、ECを軸にした次世代型コンビニエンスストア網が一気に広がるような格好だ。

 この農村タオバオが、農村部の住人の生活を変えつつある。