「農村」と「海外」で100兆円を目指す

 日経ビジネス3月21日号特集「中国にはネットで売れ」でも触れた通り、アリババは農村事業を急ピッチで広げている。農村の配送拠点となるほか、店内のパソコンでネット上の商品を買うことができる「農村タオバオ」は開始から1年強で、1万4000拠点に達している。

 取引額の伸びの都市別ランキングでは、新疆ウイグル自治区や甘粛省の都市が上位に入るなど、地方都市の伸びが大都市を上回るという。内陸部の地方都市や農村部でのECの普及が3兆元に大きく貢献しており、さらに農村部でのEC利用を促すことで6兆元という目標に近づく考えのようだ。

 海外について張CEOは「世界の素晴らしい商品を中国に持ってくる。中国の消費者の要求は日増しに多様になってきている」と語った。3兆元の取引を基にした分析によると、例えば子供用品などの分野では、地方都市の消費者も沿岸部の大都市と同様に、輸入品を好んで購入するのだという。

 アリババは今年1月、食品世界最大手のスイスのネスレと提携した。提携の狙いの1つが世界で販売するネスレの商品を、輸入品を扱うアリババの越境ECサイト「天猫国際(Tモールグローバル)」で販売していくことだ。

 TモールやTモールグローバルには日本企業も数多く出店しているものの、大成功の事例は多くない。中国のEC最大手のアリババが、農村への進出や越境ECの拡大などにより、総取引額100兆円という未踏の領域に突き進もうとしている。中国経済が減速している中で、影響力を増し続けるアリババは、中国市場での拡販に悩む日本企業にとっても、ますます重要な存在になっていくのは間違いない。