越境ECサイトは、日本商品を目玉に

 チェンさんが日本の商品を購入する際に利用しているのが、越境ECサイト。その日見せてもらった商品は、日本企業向けに中国でのEC支援事業を手がけるインアゴーラの日本商品専門サイト「豌豆公主(ワンドウゴンジュ)」で購入していた。

 中国では、中間所得層の増加や、中国製品の品質に対する不信感から、海外製品が人気を集めている。そのため、海外製品を販売する越境ECの市場が急拡大。2014年に1470億元(約2兆6500億円)だった越境ECの規模は、2018年に1兆元(約18兆円)にまで拡大するとの予測もある。中国では、こうした需要を取り込もうと、現在、400もの越境ECサイトがあるとも言われている。

 こうして生まれた越境ECサイトは今、日本企業に熱視線を送っている。中国EC最大手アリババ集団の「天猫国際(Tモールグローバル)」だけではない。中国EC2位の京東集団(JD.com)が運営する「JDワールドワイド」の日本を担当する孫路路(ソン・ルールー)氏は「商品の安全性に対する信頼感から、化粧品やベビー用品、食品などあらゆる分野で日本の商品が1番人気」と話す。JD.comは今年、日本商品の拡充を目指し、6月に出店者を募るための大規模な展示会の開催を計画。日本に支社を設立することも検討している。

日本の商社も越境ECサイトに参入

 他の越境ECサイトも数ある競合と差別化を図るため、日本商品のバラエティーを増やそうと躍起になっている。その1社が、ネット大手・網易(ネットイース)が運営する越境ECサイト「考拉海購(コアラ)」だ。ネットイースは、コアラを立ち上げた2015年当初から、三井物産と手を組み、日本商品の取り扱いを増やしてきた。現在、取り扱う商品数のうち、約半分が日本の商品で、日本商品の充実をサイトのウリにしている。三井物産の食品事業本部の海外流通・食品事業室長の佐藤弘毅氏は「中国進出のテストマーケティングになると日本のメーカーに積極的に声掛けしている」と話す。

 また、伊藤忠商事も昨年4月、資本業務提携相手である中国最大の国有企業CITIC、タイ最大財閥のチャロン・ポカパン(CP)グループなどと共同で、上海自由貿易試験区を拠点に越境EC事業を開始することで基本合意。現在、事業開始に向けて準備を続けている。伊藤忠のCP・CITIC戦略室長代行の細見研介氏は、「日本の高付加価値商品に対する富裕層のニーズは大きく、越境ECは日本企業にとって大きなビジネスチャンスになる」と話す。

 中国の消費者が越境ECを通じて日本製品に熱い視線を送っている今はまさしく、日本企業にとって“爆売り”のチャンスが広がっている。しかし、日本企業が越境ECの活用に積極的に乗り出しているかというと、まだそのような状況には必ずしも至っていない。

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