「普通だったら東大に入学できませんでした」。そう話すのは東京大学工学部出身の男性。東大にはセンター試験も推薦入試も経験すること無く入学した。

 男性が東大に入学した進路は、高等専門学校からの編入学だ。

編入学した学生は「“裏口入学”ですよ」と冗談を言う(写真=123RF)

 高等専門学校(高専)とは中学卒業後に入学できる5年制の専門学校だ。高校と短期大学が一体化したような学校で、入学時から機械工学や電子制御などの専門に分かれ、15歳から5年間の教育を実施している。12月ごろに全国大会がテレビ放送されるロボット競技「高専ロボコン」が有名だ。

 高専は高度経済成長期に、大学卒業相当の専門人材を短期間で育生することを目的に設立された。しかし産業界で技術が高度化したことなどから、高専卒業後に進学する生徒が増えてきた。その進路の一つが大学への編入学だ。

 この編入学は、一部の高専生の間では“裏口入学”と冗談交じりに呼ばれている。なぜなら試験科目が少なく、「一般的な大学受験よりも簡単だと思われている」(高専卒業生)からだ。

入試科目が少ない編入学

 例えば、2018年度の東京大学工学部編入学募集要項によると、試験科目は学科によって「英語・数学」の2科目か「英語・数学・物理」の3科目がある。5年間を通して理系の専門教育を受ける高専生にとって、数学や物理は得意分野。「英語ができれば東大に入学できる」というのが、編入学の認識だという。

 ほかにも、日程が合えば何校も編入試験を受けられることも、編入学が簡単だと思われている理由だ。試験範囲が通常の大学入試と異なるため、実際には比較できない。

 長岡技術科学大学(長岡技科大)など、高専からの編入受け入れを前提にした大学もある。長岡技科大は通常の高校から入学する生徒数が1学年約80人なのに対して、3年生として編入してくる高専出身の学生が約310人いる。