日経ビジネスの3月19日号特集「大事なのは高校」では、伝統校の凋落と新興勢力の隆盛により全国で起こっている下克上を詳細にレポートした。(本誌PART1参照)。しかし、激動の高校戦国時代において、開成高校(東京・荒川)、灘高校(神戸市)は不動のトップ校として君臨し続けている。
  毎年、高校別の進学実績をリポートしている大学通信(東京・千代田)の安田賢治常務は「開成、灘はカリキュラムなどで他の私学と大きく変わるわけではない。トップ校だからトップの学力を持った生徒が集まる」と指摘する。
 トップ校は結局何がすごいのか。そのすごさはブランド力だけなのか。開成、灘、そして新興勢力の中でも最も注目されている渋谷幕張高校(千葉市)、それぞれの高校出身の経営者に聞いてみた。

【不動のトップ校「開成」の真のすごさとは?】
 37年連続で東京大学合格者数1位を誇る開成高校(東京・荒川)。体育祭が盛んな質実剛健の校風で知られるが、なぜトップ校の地位を堅持できるのか。金融関係者の開成出身者からなるOB会を主宰するなど母校での活動に勤しむ松本大・マネックス証券社長は開成の特徴を「ゆるい繋がり」と表現する。

開成中学を受験し、そのまま開成高校に進学されています。開成とはどんな学校ですか?

松本大(まつもと・おおき) マネックス証券創業者、社長。 開成中学校・高校、東京大学法学部を卒業。ソロモン・ブラザーズ、ゴールドマン・サックスを経て、1999年にマネックス証券を設立。(写真:尾関裕士)

松本大・マネックス証券社長(以下、松本):自分なりに開成を分析しているんですが、同期の横、先輩後輩の縦の関係をすごい大事にしている学校だと感じますね。

開成には「背骨」がない

 なぜかというと、背骨がないからだと思います。例えば慶応義塾には福沢諭吉が、武蔵学園には根津嘉一郎がいるでしょう。核となる経営者や絶大なスポンサー、あるいは思想がない。開成は無脊椎動物。だから立っているために、ゆるいbond(繋がり)が必要なんですよ。

 東京大学は校歌がないでしょう。背骨があるから、校歌のような象徴に頼らなくても問題がないんです。でも開成では、校歌はすごく大事。卒業生の飲み会があると、みんな体育祭の時に練習する振りをつけて歌うんです。

 卒業生による開成会も慶応の三田会と比べて統率力は全然ないんですが、ゆるく広くつながっています。卒業しなくても入会OKなんですよ。そんなところが開成っぽいと思いますね。開成は教員も職員も卒業生ばっかりなんですよね。私自身も週末にいろんな卒業生を連れて講演会を開く勝手ボランティアをしています。