記者:文部科学省は近年、高校教育改革の一環で、アクティブラーニング(能動的学習、AL)を推し進めています。

C氏:学ばなきゃいけない、という危機感を生み出すことがALのポイントだと思ってます。上位校の生徒は社会に将来どういうインパクトを与えたいか。高校の頃から考え始めてほしい。本当に優秀な人は最初からALの素地が備わっていますよね。日本の政治を変えたい、とか強い学びの意志がある。

D氏:高校のうちに視座を植え付けておいてほしいですね。どんな分野に進むかはともかく、いま自分が努力している先に何があるのか。えらい経営者じゃなくてもいいから、苦労して結果を出した人の講演をたくさん聞いてほしい。部活でも、毎年強結果を出している強豪校の先生は「将来お前らどうするのか」という問いかけまでしていますね。

古豪は地頭が良い?

記者:そんなアクティブな人が多い高校ってどこでしょう?

E氏:渋谷幕張高校(千葉市)なんかはそういうイメージですね。

B氏:渋谷幕張は先生もすごい熱心で優秀ですよ。計画の立て方も民間企業のようですね。中長期を見越して自分で授業の企画を立ててフィードバックを校長から受けてというPDCA(計画、実行、評価、改善)のサイクルをうまく回している。

「いま最も教育界で注目度が高い高校」(教育系出版社)と言われる渋谷幕張。新興校ながら全国有数の進学実績を誇る。(写真:稲垣 純也)
「いま最も教育界で注目度が高い高校」(教育系出版社)と言われる渋谷幕張。新興校ながら全国有数の進学実績を誇る。(写真:稲垣 純也)

E氏:スポーツの強豪校でも、本当にアクティブで、ビジネスで活躍できる人は2割ぐらいしかいないんじゃないでしょうか。2割の人は20代で年収1500万円のコンサルタントになったりしますけど、残り8割はアルバイト、とかいうこともある。

C氏:バスケットボールの洛南高校(京都市)みたいに進学校でスポーツも強いケースはやっぱり優秀ですよね。でも、能代高校(秋田県能代市)みたいに飛び抜けた伝統強豪校も、実は地頭が良い。すごい戦術が複雑で進化してますからね。頭が良くないとできない。

記者:ビジネスの視点から見て、高校までにやっておいてもらいたい学びってどんなものでしょうか。

C氏:財務とプログラミングですね。大前研一さんも数字、IT、英語に秀でていればビジネスマンとして選択肢が増えると言っています。でも、今は英語しか日本の高校でちゃんと教えていない。特にお金の流れ、仕組みについては、商業高校ぐらいしか授業でやらない。

D氏:だから、転職前提でメガバンクに就職して、財務を学ぶという人も多いですよね。

C氏:うちは親が中小経営者だったんですけど、ゲームとか何か欲しいものがあるときは、親にプレゼンをしなくちゃいけなかったんですよ。それがなぜ必要なのか示せと。「みんな持ってるから」という理由はダメ。「ゲームがなきゃ遊べないやつなんて友達じゃない」て言われましたね(笑)。こういうお金を交渉して得る経験って重要だと思うんですよね。

E氏:知人の事例ですが、5歳の子供が(任天堂のゲーム機)「Wii」がほしいとねだるので、親は自分で稼げと言って、(ネットショップを無料で作れるプラットフォーム)BASEを勧めたそうです。ここで絵でも売れ、と。そしたら本当に5歳の絵を買ってくれる人がたくさんいて、Wiiが買えた。これはいい学びですよね。

記者:なるほど。自分の努力を他人に認めてもらう。その対価がお金なんだと考えれば、お金の議論を高校でもあまりタブー視しないほうがいいのかもしれません。

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