「うわっ!」

 思わず日本語で叫んでしまった。あまりに細かすぎる作業を黙々と続ける職人がズラリ。そこには、日本の工場ではなかなか見られない、筆者が創造していた通りの「別世界」が繰り広げられていた。

とにかく小さな機構部品を黙々と組み立てる
部品が細かいので拡大して組み立てる。ウオッチメーカーは日が昇る頃に出社し、沈む頃に帰宅するのだという。日光があった方が目視しやすいからだ

高級なのには理由がある

 一つの机にウオッチメーカーと呼ばれる職人がかじりつき、ただひたすら、ムーブメントを組み立てていた。その作業の細かさといったら、マニュファクチュールの響きがいいだの見学が楽しみだの浮付いていたのが申し訳ない気持ちになった。なるべく邪魔をしないようにのぞきこむが、何をどう組み立てているのか全く目で確認できない。

 「ウオッチメーカーは、スイスでは誰もが尊敬する職業。職人の数がそれほど多くないので、各時計メーカーが奪い合っているのが実情です」

 A氏が教えてくれた。

 ショパールが作っているのは、工業製品というより工芸品や芸術品に近い。だから、筆者が見てきたような製造現場のカイゼンとは全く別の論理で現場が構成されていて当然なのだ。

 ただ、各工程の場所が距離的に離れているのだけは気になった。もうちょっと近づければ、部品を運ぶムダが省けるのに…。そう考えていたら、A氏がこう教えてくれた。

 「実は今、各工程の引っ越しを考えているところです。徐々に大きくしていったので、いつの間にか工程間が離れてしまい、効率が悪くなりましたから」

 なるほど。

 価格が高くて当然。ショパールのマニュファクチュールを見た感想だ。いつか高級腕時計を買う日が来たら、ショパールの物にするかもしれない。