「私の時は1つの旅館だったので、継ぐのはそんなに難しくはなかった。けれども今、私たちは社員数が2000人の会社になりました。誰が継ぐにせよ、経営はそう簡単ではない。親子となると、どうしても30年くらい年代が離れますから、それを飛び越えて事業承継するというのは、ちょっと難しいかもしれない」

 「なので、次の経営者は社外から来るということはないと思いますが、同族以外になる可能性が高いと思っています。経営できる人材を社内で育てていく、ということが大事だと思い、10年後の星野リゾートを考えるという研修プログラムを走らせるなど、次の経営陣の育成に取り組んでいるところです」

 「ただ、上場することはないと思っている。最終的に、星野ファミリーが株主であることは変わらないんですね。私たちの企業にとっては、株主の判断がすごく重要で、誰が株主のリーダーになるのかが、経営全体に大きな影響を与える。だから、見識のある同族の次世代も育てなければならない、とも思っています」

変革なくして永続せず

 今でこそ、その経営手腕への評価が定着している星野代表だが、変革によって結果を出したからこその賜物でもある。「変革なくして永続せず」という危機感に駆られたという意味では、大塚家具の久美子社長も同じだ。

 今年2月に発表した2015年12月期の単独決算では、騒動の「おわび」と称して実施したセールなどが奏功し、経常損益が前期の赤字から黒字に転換している。近視眼的にはお家騒動でも、10年20年後には「あれは大塚家具の隆盛に必要だった」と、星野代表同様、評価されているかもしれない。

 家業と従業員の雇用を守りぬくためなら、親子の衝突も厭わないファミリー企業。だから強いのだ。