「お家騒動などの揉め事が会社を弱体化させそう」「ワンマン経営に陥りがちで人心が離れるのでは」「閉鎖的で不祥事が多そう」…。「ファミリー企業(同族企業)」、あるいは「ファミリービジネス(同族経営)」に、こんな印象を抱く読者も少なくないだろう。だが、どれも誤解で誤った認識だ。

 日経ビジネス3月14日号で、ファミリー企業の強さに焦点を当てた特集「同族だから強い 不透明な時代を乗り切る変革力」を掲載した。

 ファミリー企業には、「お家騒動」に代表される“サラリーマン企業(一般企業)”にはない負の側面があることは確か。しかし、トップに資本と経営の権限が集中し、長期的視野を保てるからこそ「変革」に臨みやすいという側面もある。結果、収益面では安定しながら成長を続けており、「一般企業に比べ経営指標で勝っている」「不祥事発生率は一般企業の3分の2」との調査結果もある。

   
●自己資本比率、総資産利益率の比較
自己資本比率 総資産利益率
ファミリー企業 53.7% 5.9%
非ファミリー企業 43.6% 5.1%

出所:『ファミリービジネス白書 2015年版』(後藤俊夫監修)
注:対象は東証1部、2部をはじめとする全上場企業約2300社

 また、ファミリー企業は、目先の収益以外の「ノンフィナンシャルバリュー」を追い求める傾向にあり、一般企業に比べ「社会貢献」「地域貢献」の度合いが高い。結果、労働力や利益となってファミリー企業へ還元されるという好循環が、強さと永続性をもたらしている。

 悪い側面を持つファミリー企業は自滅し、淘汰され、良い側面を強みとするファミリー企業が生きながらえている、と考えた方が良い。つまり、現存するファミリー企業の多くは、「強い」のである。

 東芝、シャープ…。世界的なメガブランドですら消滅の危機に立たされ、企業の永続性が問われる今こそ、その強さから学べることは多い。連載初回では、創業約100年の星野リゾート4代目、星野佳路代表に、ファミリー企業ならではの変革力を学ぶ。

 大正4年から続く軽井沢の老舗旅館を、全国規模の一大リゾートグループへと昇華させた星野佳路代表。その社長業が波乱の幕開けだったことは有名だ。