金鉱山で産まれ、生きる女の人生

　私たちが一度街に戻ることになったとき、何か欲しいものはないか、エジネイヤに聞いたことがあった。作る必要などないのに、彼女は私たちの食事をよく作ってくれたからだった。

　だが、彼女は「何も欲しいものはない」といつものように無表情な顔で答えると、食事の支度に戻ってしまった。

彼女の居場所

　秘境の金鉱山に生きる者たちは実に不思議だ。

　荒くれ者のガリンペイロは些細なことで人を殺すのに、森で蛇を見かけると「森を侵略しているのはこっちだからな」と言って逃がしたりする。「警察が来たらぶっ殺す」と公言しているのに、羽を痛めたオウムを見つけると世話を焼く。

　そして、鉱山に生きる女は、頑なに街を拒絶する。

　いくつもの滝を越え、私たちが密林の奥底で見たものは、そんな人間のたちの剥き出しの生き様だった。

アマゾンの最深部に男と女の秘境があった…… （c）Eduard MAKINO

（了）

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