女、35歳
数年前、エジネイヤはガリンペイロの1人と同居を始めた。相手は40代前半のリーダー格の男で、ガリンペイロには珍しく、いつもニコニコしている優男でもあった。
夕食が終わると、2人は台所の椅子に並んで座り、手を握り合って、よくTVを見ていた。無表情な彼女が、少しだけ微笑んでいるように見えた。幸せそうなカップルに思えた。
だが、ある日、別のガリンペイロから意外な話を聞くことになった。年に2度、決まった日に2人は必ず大喧嘩をし、その度に別れるというのだ。
年に2度とは、カーニバルとクリスマスのときだった。
その2日だけ、エジネイヤは酒を口にし、豹変した。
あれほど無表情な女が、笑い、怒り、意地らしく拗ねてみせたりもするという。そして、誰彼かまわず、場所さえ気にせず、性行為に及ぶのだ。パートナーが近くにいても全く気にしなかった。ガリンペイロたちは、そんなエジネイヤの性癖を知っているから、年に2日だけは彼女に群がる。パートナーは怒る。ついには、「あんな尻軽女とはオサラバだ」と言って家を飛び出す。そして、祝祭の日が終わってしばらく経つと、何となく元通りになり、同居が再開される……。

世の中にはそんな女も、そんな男女の関係もあるのかもしれない。あるいは、さほど珍しい話ではないのかもしれない。
だが、エジネイヤがこう語ったとき、その心中奥深くには、もっと複雑で、彼女さえ気づいていない何かが隠されているような気がした。
なぜ街で仕事を探そうと思わないか。そう尋ねると、彼女はこう答えた。
「ガリンペイロの仕事はとても辛いの。だから助けになりたいの。そう思って食事を作ってるの。私はここが好きなの。ガリンペイロが好きなの。みんなは乱暴者だっていうけど、私は好きなの。街は嫌いなの。街の人も嫌いなの。街に戻る時のガリンペイロも嫌いなの。私は一生ここで生きるの」
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