小屋の中の「家族」

 一方で、金鉱山には様々な動物がガリンペイロと「同居」していた。犬が7匹、猫が4匹、インコが1羽にオウムが2羽。ペットである。

 ペットにはそれぞれ飼い主がいた。猫を飼っている者は食べ残しや魚の骨を集めていたし、オウムやインコを飼う者はビスケットを売店で買い(50枚入り1パックで0.2グラム=800円)、朝晩に口移しで与えていた。

 ひとときもペットと離れないガリンペイロもいた。その男は前科者で、いかにもという強面の顔なのだが、仕事を終え小屋に戻ってくると、必ずオウムを手に乗せ猫撫で声で語りかけていた。

 1週間ほど一時帰宅することになったとき、男はオウムとともに船に乗り込み、「一緒に帰って、一緒に戻って来る」とやや照れた表情で言った。

早朝、鉱山に向かう前の慌ただしい時間、ガリンペイロの1人がペットのインコにコーヒーを与えていた (c)Eduard MAKINO

 変わった生き物と「同居」している男もいた。30代半ばで独身、親族とも長い間会ってはいない男だった。

 男の小屋には柱に直径20センチほどの白アリの巣があった。1年前から巣を作り始めたらしい。放置すれば、どんどん大きくなるはずだった。

 どうして取り除かないのか。そう聞くと、頬を赤らめてこう言った。

 「俺とコイツらは同じ家の中にいるんだぞ。家族みたいなもんじゃないか。家族を殺していいのか。いなくなったら淋しくなるじゃないか」

 滝のずっと向こう。秘境の金鉱山にはそんな男たちがいた。

(次回に続く)

 大河アマゾンを遡った遥か先にある、暴力に彩られたガリンペイロたちの「王国」。NHKスペシャル「大アマゾン 最後の秘境」シリーズでは、さらに、私たちがいまだ見ぬ生き物の世界、文明社会と接触したことのない先住民族が生きる秘境も取材している。
 シリーズのラインアップは以下の通り。
第1集「伝説の怪魚と謎の大遡上」 4月10日(日)
第2集「ガリンペイロ 黄金を求める男たち」5月8日(日)
第3集「緑の魔境に幻のサルを追う」6月12日(日)
第4集「原初の人々 イゾラド」7月
※全てNHK総合テレビで午後9時から放送予定