彼らの出費はそれだけに止まらなかった。売店には古参のガリンペイロたちも来ていて、賭博に誘われたのだ。賭博はカードで、4回ビリを引いた者が全員にビールを1本ずつ奢るというものだった。

 新入りたちは負け続けた。到着して半日も経たないうちに、売店への借金は金8グラム(3万2000円)まで膨らんだ。

連日のようにカード賭博が開かれる。新入りたちはあえなくカモにされた (c)Eduard MAKINO

先輩の冷やかし

 借金を抱えた新入りたちは、逸る気持ちを抱えて金鉱山での暮らしが始まる。1日も早く金を掘り当てて借金を返さねばならないからだ。

 新入りが真っ先に取り掛かるのが小屋作りだった。森から柱となる木を切り倒してきて骨組みを作り、天井にビニールシートを被せる。半日もあれば小屋は出来上がる。

新入りのガリンペイロの1人。彼もまた法外な金額のビニールシートを買い、小屋を建てた (c)Eduard MAKINO

 新入りが私たちに言った。

 「今は小さく粗末な小屋だけど、いつかはこの3倍の小屋に建て替えて、街から妻を呼びたい」

 それを聞いた先輩たちが茶々を入れた。

 「どうせお前のカミさんはすぐに他の男と懇ろになるさ。来月街に戻るから、俺が口説こうかな」

 言った本人もただの冗談のつもりだったはずだ。しかし、初めは「あの女がそんなことをするはずがない」と言い返していた新入りが、何度も同じネタで揶揄された挙句、ついには塞ぎ込んでしまった。彼はまだ20歳で、心底若い妻が心配になったのだ。新入りは小屋を建て終えると、独り言のように「実は何度か浮気されたことがあるんだよな」と弱音を吐いた。

 だが、しばらくすると気を取り直し、こんな暴言を吐くのだ。

 「浮気されたら、ここに連れてきて娼婦をさせる。取り分は俺が7でアイツは3だ。俺はどんな手を使ってもヘイ・ド・オーロ(金の帝王)になってやるんだ」