これまで「市場に出してヒットさせてみるまで、起こるか起こらないかわからないものがマスイノベーション」と述べてきた。そういうイノベーションは少人数のセンスで決定できるベンチャー企業や、さらに言えばフルタイムではない個人の「メイカー」が有利で、多産多死の上にイノベーションが行われている。

 では、軽々と失敗できない大企業はどういう形で関わるのか。中国では大企業とベンチャー企業のうまいコラボが見られる。

「この製品はFOXCONNで製造しています」と語る社員約10名のベンチャー

 深圳のベンチャーを見ていくと、創業1年足らずで社員10名ぐらいというサイズの会社でも、世界最大のEMS(製造サービス会社)FOXCONNに製造を委託しているケースがある。

マグネットで電子回路を組み立てられる知育製品、Honeycomb

 Honeycombもその一つだ。別の名前で教育用ツール開発のベンチャー企業を立ち上げていた彼らが、磁石で電子回路を作ることができる、玩具と学習ツールの間にあるような知育ツールHoneycombを発表したのは2016年の3月。その後、5月には製品版プロトタイプを完成、7月には量産の準備を終えて、2017年の1月には50のサンプルをラスベガスのコンシューマエレクトロニクスショーに持ち込んだ。

Honeycombのタイムライン

 この速度はもちろん驚くべきことだが、深圳ではよくある話だ。さらに注目すべきは彼らの製造をFOXCONNが行っていることだ。どの段階からFOXCONNが製造を引き受けてくれるようになったのかは明らかにされていないが、2017年の12月に訪問したときには製造をFOXCONNが行っていることがパッケージに書かれていた。契約で名前が出せないケースも多いが、他にも複数、深圳のベンチャーで製造はFOXCONNという会社を知っている。