Seeedのほか、中国のメイカーたちは、口々に東京メイカーフェアの出展者たちのクオリティやアイデアを賞賛する。僕たちは世界のメイカー達があこがれる場所にいる。

日本から深圳に招聘された外骨格ロボ「スケルトニクス」。沖縄高専の学生が卒業後に起業し、今も長崎のハウステンボスなどでこのロボットを見ることができる。

 東京のメイカーフェアも海外からのゲストに出展してもらっているが、僕が知る限りほぼアメリカからだ。日本はアメリカからメイカーを輸入して中国に輸出していると言えるかもしれない。

日常的に使うガジェットから日本製が消えた

 メイカーフェア東京は2012年から開催されている。2012年の僕は、SonyのスマートホンとPanasonicのカメラとノートPCを使っていた。今ではPC(Xiaomi)もスマホ(HUAWEI)も中国製になってしまい、一眼レフはまったく持ち歩かなくなってしまった。

 現在は深圳に住んでいることもあるが、最近買ったガジェットはMicro:BitとRaspberry Pi(イギリス)、DJI、Insta 360、M5Stack、Makeblock、Robobloq、Honeycomb、Bluedio、SODO(いずれも中国・深圳)と海外製品ばかりで、日常的に使っているガジェットは、iPadとノイズキャンセリングヘッドホン以外はすべて中国製になってしまった。

 もちろんイメージセンサなど日本の製品は今もとても優秀だ。でも、名前を言えばどこの国でも一発で通じる日本のサービスや製品はどんどん少なくなってきている。

 東京メイカーフェアに出展していて、海外のメイカーフェアから招聘されるようなすばらしいメイカーは、普段は日本の大企業でエンジニアをしていることが多い。深圳からみてあこがれのメイカー達が働く大企業が、会社としては深圳の会社よりパフォーマンスが落ちてしまうのが今の日本の課題のようだ。

 メイカーについての講演をすると、大企業の偉い人から「弊社の社員はあまり自主的な取り組みをしない」という相談を受けるときがある。僕はその会社の社員がメイカーフェアで見せているいくつかのプロジェクトを知っているが、その会社の経営層はメイカーフェアの存在自体を知らないことが多い。

 中国はいろいろ問題の多い国だが、首相がメイカースペースの会員名簿にサインをしたのは、エンジニアにとっては力になったことだろう。DIY的なものづくりをマイノリティの活動とみなすか、その国の未来とみなすかは大きな違いだ。ホワイトハウスでメイカーフェアを開いたオバマ大統領は、スピーチでAppleが同人誌的なDIY活動から始まったことに触れて「今日のDIYは明日のメイド・イン・アメリカ」と述べた。