マスと科学技術、2つのイノベーションを支援する中国政府

 2006年頃からamazonやGoogleがクラウドコンピューティングサービスをはじめてそれがさらに加速した。クラウドコンピューティングというのは従量課金制のサーバサービスだ。それ以前は何百万円もするサーバマシンをあらかじめ買っておかねばならなかったものが、ユーザがサービスにアクセスした(コンピュータを使った)分だけ後払いすれば済むようになった。

 実際にアクセスが殺到して従量課金の支払いに苦しむぐらいになったサービスの実績を持って投資を募るほうが、圧倒的に資金調達はやりやすい。大人気になればお金はついてくるものだ。

 そうしたハードウェアの立ち上げが中華式オープンソースの恩恵で低コストでできる深圳は、変わったハードウェアビジネスの聖地になっている。

 こうした「多くの人が低コストの思いつきを何個も市場に出して、売れたものが生き残る」というマスイノベーションのやりかたと、「専門家に集中投資して世界最高の性能を出す」という従来型の科学イノベーションのやり方を、中国政府はどちらも、別々の手法で支援している。

 次回はマスイノベーションとは対照的な集中投資がなされるエリート達のイノベーション支援、北京・清華大学のやり方を紹介する。