オープンソースソフトウェアが生んだシリコンバレーの新サービス

 バニー・ファンが語ったとおり、オープンソースのソフトウェアは、シリコンバレーから新しいサービスが次々生み出される大きな要因となっている。

 コストが下がることは、こういう「まず作って売ってみて、売れてみんなが使ったことではじめてイノベーションとなる」ケース、マスイノベーションではとても大事だ。

 第1回第2回と、若者が小さく始めたビジネスがみるみる大きくなった話を書いてきたが、シリコンバレーでインターネットビジネスがみるみる大きくなる現象は2005年ぐらいから起こった。その原因は、オープンソースソフトウェアにより開発コストが劇的に安くなったことから始まった。

 ぼくは1990年代の末頃、新入社員としてインターネットサービスを作ることを仕事にしていた。その頃僕が書いた企画書はどういうサービスを作るのでもとりあえず2000万~3000万円を計上していた。データベースソフトのOracle、アプリケーション実行環境のWeblogicなど、ソフトウェアのライセンス費に数百万~数千万円の費用がかかった。これらはサーバマシンの台数分いる。マシンもあらかじめ買いそろえておく必要があり、当時は開発するプログラミングソフトも数十万円するものがあったし、それを人数分そろえる必要があった。これは開発工数とは別にかかる費用だ。

 大きい投資になるし、その分たくさんの会議と稟議書に押されたハンコが必要になる。結果として「突っ込んだお金がいくらで、それ以上のリターンがあります」という形でしかサービスをスタートさせられなかった。そういう大きな金額は、前回で話したアクセラレータからでなく、大きい会議を開いて何個ものハンコでもたらされる。

 2000年頃からLinux、Apache、MySQLといったオープンソースのソフトウェアが業務で使えるようになった。それによりサービス立ち上げのコストが急激に下がり、「まず始めてみよう」というサービスが多く出てくるようになった。第2回で紹介した、立ち上げ前のアイデアのある起業家を支援して加速させるアクセラレータという投資ビジネスの草分け、Yコンビネータは2005年にシリコンバレーで創業している。