マクロン氏の勝利を祝う支持者たち
マクロン氏の勝利を祝う支持者たち

 4月23日に実施された第1回投票の得票率は、マクロン氏が有効投票数の24.01%、ルペン氏が21.30%。差は決して大きくなかったが、結果的にはマクロン氏の大勝に終わった。明暗を分けたのは、2人の公約に対するこだわりの大きさが挙げられる。

最後まで軸がブレなかったマクロン氏

 第1回投票の直後こそ、「勝利に浮かれ過ぎ」と批判されたものの、マクロン氏はこの2週間、自身の政策を繰り返し訴えてきた。開かれたフランスを目指し、法人税の引き下げなどを通して投資を呼び込む一方、企業に支給する雇用手当の引き上げや失業保険制度の見直しにも着手して、経済再生を目指す。

 EU(欧州連合)とも前向きな関係を構築していく。シェンゲン協定などこれまでの制度を維持。ドイツとも協調する。決選投票までの2週間、マクロン氏は主張を最後まで貫き通した。

 対して、ルペン氏は決選投票までの2週間で主張する政策にブレが目立った。決選投票に向けたルペン氏の課題は、極右支持者以外に支持を広げられるかだった。大統領選に専念するため第1回投票の翌日には、国民戦線の代表を一時的に辞任した。

 しかし、支持層はなかなか広がらなかった。その焦りからか、当初の政策にブレが目立つようになった。それが決定的に表れたのが、5月5日に実施された投票前の最後のテレビ討論だった。ルペン氏は、従来主張してきた通貨ユーロの廃止について、当選後に見直すと発言した。大企業には引き続き通貨ユーロの使用を認めるというものだ。

 この発言は、付け焼き刃の感が否めなかった。マクロン氏も、ルペン氏が掲げる政策の支離滅裂さを批難した。その後も、EU離脱をめぐる国民投票を実施するとの公約を事実上撤回するような発言をするなど、過激な主張をトーンダウンさせた。

 ルペン氏にしてみれば、支持層を拡大するため、現実的な政策を訴える苦肉の策だった。だが、有権者にその狙いを見透かされ、逆に不信感を植え付けてしまう結果となった。

 マクロン氏が勝利したことで、ひとまずは極右政党から大統領が誕生する懸念はなくなった。EUにとっては今年最大の懸案事項だっただけに、EU関係者の間で安堵感が広がった。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は報道担当官を通じて「強いEU、ドイツとの友好関係につながる」との談話を発表。ドナルド・トゥスクEU大統領もツイッターで祝辞を送った。

次ページ 期待の高さは、落胆の大きさと裏腹