EU(欧州連合)離脱をめぐる英国との交渉、主要国で台頭する反EUの政治勢力、終わらない難民問題…。課題山積のEUは今、発足以来の正念場を迎えている。欧州各国で起きる政治・経済の動向を中心に、ロンドン駐在記者が現場で見て聞いたリアルな欧州の姿をリポートする。
シリーズ
かすむEUの未来

完結
13回
-
「メルケル勝利」を掻き消した右派政党の躍進
メルケル首相の与党CDU・CSUの完勝だった。しかし、その勝ち方に強さはなく、CDU・CSUの得票率は前回の42%から10ポイント近く下落した。一方で「反難民」を掲げる右派勢力のAfDが躍進し、議会で第3党に食い込む。
-
選挙を受け、英国とEUとの離脱交渉はカオスに
英総選挙の結果が確定した。与党・保守党の獲得議席は318で半数を割り込んだ。メイ首相は続投を宣言し、中道右派政党「民主統一党」との連立を模索する。しかし、求心力の低下は免れ得ず、党内に不満を抱えたままEU離脱交渉に臨むこ…
-
英下院選挙、目論見狂い窮地のメイ首相
英総選挙について、BBCが出口調査に基づく予測を発表した。これによると与党・保守党の獲得議席は314で過半数を下回る。この通りの結果となれば、メイ首相の責任論が浮上する。連立交渉が始まる可能性も高い。EU離脱交渉は始まる…
-
再び英国でテロ、痛すぎる観光産業への打撃
事件の現場となったロンドン橋やバラ・マーケット周辺に、普段の賑わいはなかった。立入禁止のテープを広範囲に貼りめぐらされ、ライフル銃を抱えた警察官が物々しく歩き回る。状況を知らずに訪れた観光客が不安気な様子で現場を見つめて…
-
英自爆テロ、懸念されるEU離脱後の治安協力
英マンチェスターで起きた今回のテロ事件は、離脱をめぐる英国とEUとの交渉に影を落とす可能性がある。テロ対策を含む治安情報を、EUを離脱した後の英国とどのような形で共有するかという問題が浮上するからだ。
-
歴史的な低投票率、マクロン大統領を待つ試練
世界中から注目を集めた仏大統領選で、中道のマクロン氏が当確を決めた。極右大統領の誕生がなくなったことで欧州には安堵感が広がる。しかし、反ルペンの消去法で選ばれたマクロン氏には新たな求心力が求められる。
-
「マクロン大統領」の命運は6月の議会選が握る
仏大統領選の決選投票が5月7日に迫る。世論調査ではマクロン候補が勝利する可能性が濃厚だが、ルペン候補も必死に巻き返しを図っている。仮にマクロン候補が勝利しても、難題が山積する。仏ニース大学のギレス・イバルディ教授に聞いた…
-
仏大統領選、“本命”マクロン候補が首位通過へ
前例のない混戦となったフランス大統領選。抜け出したのは“本命”候補のエマニュエル・マクロン氏だった。得票率23.27%で首位で通過した(24日0時時点)。2位に着ける、極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン候補との決選投票…
-
フランス「斜陽の町」が映す大統領選の行方
伸び悩んではいるものの、専門家の多くは今もルペン候補が勝利するとの見通しを捨てていない。都市部よりも郊外で分厚く広がるルペン支持層。その現場を取材すると、変化に対する国民の渇望が想像以上に強いことが分かった。
-
EU離脱交渉以上に深刻、英国内の分裂リスク
英国のEU離脱に向けて、カウントダウンがついに始まった。英政権はこの離脱交渉に加えて、国内での求心力維持にも腐心することになる。スコットランドのみならず、北アイルランドやウェールズでも英国からの離脱を求める勢力が力を増し…
-
オランダ下院選、トルコ問題が流れを変えた
「ソファに座ってツイートするのと、実際に国を統治するのとはまったく違う」
-
英メイ首相のEU離脱通告は秒読み段階に
英上院が3月13日、EU(欧州連合)との離脱交渉を開始する権限をテリーザ・メイ首相に与える法案を可決した。これにより、メイ首相はいつでもEUに対して離脱を通告できるようになった
-
投票迫るオランダ選挙、極右政党が急伸する理由
今回の選挙で、労働党は支持を集めることができていません。予想獲得議席数は12と、現在の38から大幅に減ると見られています。その理由は、同党が連立政権に参加しており、「エスタブリッシュメント」政党だと見られているからだと考…
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回