上場するまで社員は年上だけ

川島: そういう人生を過ごしてきて、自己評価が低くなったりしなかったんですか?

瀬戸: もともと低いのですが、周囲からそう見られることも、別に嫌ではなかったです。たとえば先輩から「瀬戸、何か面白いことやってみろ」と言われるのを、自分なりに楽しんでやっていた。「ばかだな」と面白がってもらえるのも、ひとつのキャラクターじゃないですか。その過程で、自分が足りていないところも分かっていくので、そこから自己表現していくって大事なことです。

川島: そのお話は「『人は変われる。』を証明する」というRIZAPの理念にもつながります。

瀬戸: その通りです。自己実現を続けることが私の考え方の根底にあるし、すべての社員にもそうあってほしいと考えています。

 また、私は「自分が足りていない」という思いが強くあったので、創業してから上場するまで、自分より若い社員を入れなかったのです。現在の役員も年上の人がほとんどです。

川島: そういう組織って、社長としてやりにくくなかったのですか。

瀬戸: 「社長に向かってモノを申しやすいかどうか」ということで言えば、年齢による上下関係は意外とあると考えていて、年上の人と作った組織のほうが良いと思ったのです。

川島: それで実際、「モノを申す」は行われたのですか。

瀬戸: 意識的にそうしてみて、これはかなりうまく行くと思いました。

川島: そこにも瀬戸さんの「勘」が働いているように感じます。次は、次々と成功を収めているビジネスの「勘どころ」を聞いてみたいと思います。

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(写真/稲垣純也)

筆者/川島 蓉子(かわしま・ようこ)氏


1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム株式会社取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。
日経トレンディネットや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)、などがある。1年365日、毎朝午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている。

日経トレンディネット 2017年11月30日付の記事を転載]

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