コンセプトは「ナメられる対象になること」
川島: 社長と話していると、たいてい会社が大きくなっていく過程で、悪い情報が上がってこなくなるという悩みをよく聞きます。RIZAPはこれだけの急成長で、そのあたりはどうなのでしょうか?
瀬戸: 私のコンセプトは「どうやったらナメられる対象になるか」です。そのほうが絶対に情報が入ってきますから。
川島: ナメられる?
瀬戸: 私はものすごくおっちょこちょいで、たとえばパスポートは年に数回はなくすし、会社の入館証もしょっちゅう忘れてしまい、社員に電話して扉を開けてもらうことは日常茶飯事(笑)。
川島: そうなんですか。意外です!
瀬戸: まったくのダメ人間ですから、逆に言えば「お願い力」があるのかも、いや「お願い力」はちょっと自信があります。
川島: 「お願い力」! でも、同じことをお願いしても、うまくできる人とそうじゃない人っています。何がそれを分けるのでしょうか?
瀬戸: 私は自分で全てできているとはまったく思っていなくて、足りないところだらけ。だから「足りないところ」を自覚したうえで、できないことは人に頼ることから「お願い力」があるのではないでしょうか。
川島: そうはおっしゃいますが、こうやってお話ししていると、瀬戸さん、物腰は柔らかいし、お話に流れるように無駄がないし、礼節をわきまえていらっしゃるし、パーフェクトに見えちゃいます。
瀬戸: いや私は、小さいころから「できない」「だらしない」といわれて育ってきたのです。たとえば飲食店でバイトしていて、周囲はどんどんできるようになって給料が上がっていくのですが、私だけミスが多くて上がらない、遅刻が多くてクビになるということばかり。全体的に「だらしない」のです。バーベキューをやっていて、自分は一所懸命やっているのに、「邪魔だから、ちょっとどいてくれる?」と言われる人、いるじゃないですか。私はそういうたぐいの人間なのです。
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