2016年11月8日に行われた米大統領選挙では、ドナルド・トランプの勝利に世界中が驚いた。選挙前までの世論調査ではヒラリー・クリントンが優勢だったものの、フタを開けてみたら世論調査と異なる結果。これは、2016年6月23日に英国で行われた国民投票のときとまさに同じ展開だ。

 ご存じの通り、英国で行われたEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票(英語では『United Kingdom European Union membership referendum』)では、残留支持がおよそ48%、離脱支持52%と、離脱派がきん差で勝利し、EU離脱が決定している。

 英国では、EU離脱のことを「Brexit(ブレグジット、Britain とExitをかけ合わせた造語)」と呼び、毎日のようにブレグジット関連ニュースが、今もテレビや新聞をにぎわせている。国民投票から数カ月が経過したが、その後英国ではどのような変化があったのか。実は、市民生活で面白い展開がいくつかあったのだ。今回はブレグジットが英国人の普段の生活に与えた影響について探った。

英国人の国民食がスーパーから消えた?

 日本ではあまりなじみがないかもしれないが、英国には「マーマイト」という食品がある。これは、酵母エキスを発酵したペーストで、英国人はパンにつけて食べる。独特のクセがある風味は好き嫌いが分かれるところで、在英日本人には総じて不評。しかし、これがないと生きていけないというほどの熱烈なファンが多い食べ物でもある。

英国の国民食ともいえる「マーマイト」
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 今年10月、このマーマイトがスーパーの棚から消えるという事件が起きた。マーマイトの製造・販売元である食品・日用品メーカー「ユニリーバ」が、ブレグジットによるポンド安を理由に、マーマイトや「ダブ」「バセリン」などの商品の10%値上げを要求したことに、大手スーパーチェーン「テスコ」が反発の意を表明。テスコのオンラインショッピングサイトからユニリーバの商品が削除されるという事態になった。

 ユニリーバとテスコが交渉した結果、対立は1日で決着がついたが、多くの国民に愛されているマーマイトなだけに、1日消えただけでもパニックに。英メディアは“マーマイト戦争”と銘打って大々的に取り上げ、SNSでは「 #Marmitegate」なるハッシュタグも登場する騒ぎになった。

 食品関連の騒動としては、米国が拠点の菓子メーカー「モンデレス」が、英国で販売するチョコレートバー「トブラローネ」のマイナーチェンジをしたことも論議を呼んだ。スイスのマッターホルンを模した三角形のチョコの隙間が大幅に広がり、まるでクシの歯が抜けたかのようにスカスカな形になったことで、こちらも愛好家たちが大騒ぎ。モンデレスの広報担当は「ブレグジットの影響は関係ない」とコメントしているが、ブレグジットによるポンド安で原料費の値段が上がったことが原因で軽量化を図ったと考えられている。

モンデレスのチョコレートバー「トブラローネ」
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スイスのマッターホルンを模したものだったが、スカスカな形に変わり、愛好家からクレームが殺到
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