「突然海外との電話会議が必要に」(武田薬品工業・井畑研二氏)

 武田薬品工業で臨床開発に関わる井畑研二氏も、発音重視の英語学習法を捨てた1人だ。

 2008年に入社。国内の治験に携わっていたが、2014年ごろから実務での英語を使う機会が出てきた。関わっている治験が海外と共同で行われることになったからだ。現在は、海外相手の電話会議を頻繁に行っているという。仕事で英語が必須ではなかった時期もTOEICの勉強はしていたというが、「海外出張に行ったときに現地の人とコミュニケーションが取れない実感があった」という。顔の見えない電話会議の現場で“使える英語”を身につけるために、どのような学習方法を選んだのだろうか。

武田薬品工業 日本開発センター 臨床開発部 課長代理 井畑研二氏。1980年生まれ。薬学部を卒業後、大学院に進み、2005年に卒業。2008年に武田薬品工業に入社

【ポイント4】文法が間違っていても意図は伝わる

 大学院時代から英語文献を読む機会が多く、読み書きにはさほど支障はなかったという井畑氏。2010年の海外出張をきっかけに、会話力を上げるための勉強を強化したという。なかでも力を入れたのが「シャドーイング」。Podcastの英語コンテンツを再生し、内容をそのまま声に出して復唱するというものだ。

 「再生する動画は『CNNスチューデントニュース』など。毎日10分くらいの動画を見ながら発音を繰り返すことで、英語のリズムが身に付くのではないかと思いました。自分で話したフレーズをiPhoneに録音して聞いたりもしました」(井畑氏)

 それでも、実際に電話会議の現場ではなかなか流ちょうにしゃべれず、恥ずかしい思いをしたこともあったという。

 「英語を話すことに対して恥じらいをなくすことはなかなか難しい。でも、私が電話会議をリードしなければならない時期があって、度胸が付きました。過去形や三単現のsなど、細かい文法を気にしていたら会議が回らなくなってしまうんです」

 会議は一対一の会話ではないので、話が食い違っても誰かがフォローしてくれるはず。そう腹をくくってから、会話をリードしやすくなったという。

 「スライドを見ながら会議するときは、スライドを完ぺきに作り込んでおけば会話力の不足をカバーできます。あと会議に入る前に『あまり英語が得意でないので、ゆっくりお願いします』と伝えたりもします」

 弱点をさらしているように見えるが、会話のペースをコントロールできる、うまいやり方だ。たいていの場合、会議は円滑に進むというが、たまにつまずくときもある。

 「僕が話している意図が全く伝わらず、『もう一回言って』と言われることも。相手にネガティブな反応をされるとくじけるときもありますが、気持ちを切り替えて、もう一回、説明します」