【ポイント2】文法よりも会話のパターンが重要

 金田さんが最初に書いたスプリクト(原稿)は、教科書で習った文法をそのまま応用したもの。いわゆる高校生の英作文レベルだったという。書いている金田さん本人も文章が冗長だという自覚があったが、内容を間違えずに伝えるためには必要と、文法通りのスクリプトを作り続けていた。

 「最初は僕に合わせて社長が型通りに聞いてくれていました。でも、何度目かの報告の場で、社長がいきなり『Hi,Kaneda-San. Any update?』と切り出したんです。その瞬間に、私はそのフレーズを丸暗記しました」

 実際の会話は英作文とは違い、主語や述語が省略されることも多い。金田さんは社長との会話を通し、英会話の省略法のパターンを学んでいった。

 「政治や文化、エンタメなど、学びたい内容のジャンルを広げると、なかなか英語習得にはつながらなかった気がする。僕は営業予測について話せないと仕事にならないという状況だったので、そこに絞り込んで単語やフレーズ、会話のパターンを覚えたのが良かったと思います」

 金田氏は以前、英語が全く話せない部下とシンガポールに1週間出張したという。その間、VIPが参加するディナーも含めて全てのレストランの予約をその部下に任せたそうだ。「出張が終わるまでに、彼はレストランの予約については英語で完ぺきにこなせるようになっていましたよ」(金田氏)。

【ポイント3】大事な単語は大きな声ではっきりと

 業務に関する会話はできる一方、雑談は今でも得意ではないという金田さん。ただ、ジャンルを絞り込んで会話のパターンを覚える方法を繰り返すなかで、営業予測以外でも自分が知っている単語を使って会話ができるようになったという。

 「例えば『梅干し』という単語が出てこなくても、知っている単語で説明することはできます。ジャパニーズピクルス、スーパーサワー、レッドカラーで、ユニークなフレーバー。もし食べたかったら買ってきてあげましょうか、という感じです。場が盛り上がりますよ(笑)」

 さまざまな国の人々と英語で会話する機会が多い金田氏は、発音について独自の持論を持っている。英語で意思を伝えたいのか、それともネイティブのようになりたいのか、英語を習得する動機をはっきりさせることだ。

 アジア圏にも英語を使う人は多いが、例えばインド人の英語は平板、シンガポールの人は最後に語尾が上がるというように、国によって発音の特徴が違うという。それゆえ、イントネーションにはこだわらず、大事な単語をはっきり大きな声で話すよう心がけているそうだ。

 「日本人は英語を話すときに声が小さくなる人が多い。モゴモゴせずに、大事な単語をはっきりと伝えること。あとは目を見ること。日本人同士のコミュニケーションと一緒だと思います。相手の顔が見えない電話会議のときは、カンペを読んでもバレません。『絶対に間違えない』という自信を持って、堂々と話せばいいのではないでしょうか」

 金田さんは2年前に日系の製造業に転職した。「業界が変わったので、転職したてのころは一時的に英語力がガクンと落ちました。製造業界の用語は日本語ですら分からないものが多かったので。今、グローバル企業のトップクラスとの会議で多用するのは『optimization(業務の適性化)』『constraints(制約条件)』など、前職のIT業界では全く使わなかった単語ばかり」

 今後も業務上で必要が生じたら、そのジャンルの単語をひたすら覚えるだけだと、金田さんは自信を持って語った。