最近、「男性向け」をうたったサプリメントが次々と登場している。先ごろは、日本メンズヘルス医学会が「メンズヘルス機能性食品セミナー2017」(10月7日開催)を東京大学で開催し、男性向けサプリメントを開発した食品メーカー8社の研究者や開発者による講演が行われた。どんな成分が登場し、それらにはどのような機能性が期待できるのか? セミナーの内容をレポートする。
「女性に比べると男性は健康に対する意識が低かったが、最近それが変わってきた」と話すのは、日本メンズヘルス医学会理事長を務める順天堂大学大学院泌尿器外科学の堀江重郎教授だ。
「男性向けの化粧品も増えているし、男性も外見や健康に気を配るようになってきた。より良いコンディションで仕事をしたい、という気持ちもあるのだろう。そんななか、きちんとしたエビデンス(科学的根拠)に基づいて設計された男性向けサプリメントもどんどん開発されている」(堀江教授)
背景には、主要な男性ホルモンであるテストステロンの重要性や「男性更年期障害」の認知が広がってきたことも大きいだろう。テストステロンは筋肉や性機能だけでなく、動脈硬化や睡眠、さらに意欲や集中力などの精神面にも深くかかわっている。
加齢やストレスで一定以上にテストステロンの分泌が減った状態がLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)、いわゆる男性更年期障害だ。男性ホルモンの減少によって起こるという意味では、基本的に女性の更年期障害と変わらない。その結果、性欲の減少、意欲の低下、不眠などの不調が表れ、がんや生活習慣病のリスクも高くなる。
「日本の潜在患者数は600万人。ところが、LOH症候群は保険病名になっていない。そのため、機能性表示食品やサプリメントが介入できる余地がある」(堀江教授)
テストステロンの分泌は食生活にも大きな影響を受ける。例えば亜鉛をとると、血液中のテストステロンが増えることが確認されている。一般的に亜鉛は魚よりも肉に多く含まれるとされており、23~58歳の男性80人の精液を調べた堀江教授らの研究によると、魚よりも肉をたくさん食べる人のほうが精液中の亜鉛濃度が高く、精子の数も多かったという。
亜鉛以外にも、男性更年期障害に効果を期待できる成分はいくつもある。
[コメント投稿]記事対する自分の意見を書き込もう
記事の内容やRaiseの議論に対して、意見や見解をコメントとして書き込むことができます。記事の下部に表示されるコメント欄に書き込むとすぐに自分のコメントが表示されます。コメントに対して「返信」したり、「いいね」したりすることもできます。 詳細を読む