趣味やライフスタイルで選べる旅

 COTABIはこうして、利用者間で旅行プランを作り販売し合える新しい形の旅行サービスとなる。東京都内で実施した発表会に登壇したピーチの井上慎一代表取締役CEO(最高経営責任者)は「旅行は札幌へ行きたいなど、目的地から計画を立てるのが一般的だった。ただ、これからは個人の趣味やライフスタイルから旅行を予約できる仕組みを作りたい」と意気込む。

記者発表会では全日本空輸(ANA)とAirbnbの提携も発表された。左から発表会に登壇したANAの志岐隆史代表取締役副社長、Airbnb Japanの田邉泰之代表取締役、ピーチ・アビエーションの井上慎一代表取締役CEO
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 ただし、当初は利用者の作った旅行プランが売れても作成者は報酬などを得られない。「現行の旅行業法では、行政庁に登録しなければ報酬を得ることは許されない。そのため、今後、ポイントでの還元や成果報酬型の広告サービスとして提供できるかどうかなども含めて検討していく」(Airbnb)。

 ピーチがこのようなCtoC事業の着想に至るきっかけとなったのが、2017年3月に就航5周年を記念して実施したキャンペーンだ。同キャンペーンは、写真・動画特化型SNS「Instagram」で影響力のあるインフルエンサーを起用して、インフルエンサーが旅行先で投稿した写真を利用して日替わりで旅行を提案するもの。同キャンペーンは前年同時期のキャンペーンと比較して2.4倍の売り上げとなる、大きな成果を上げたという。

11月6日から先行して開設したCOTABIのサイト。
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 キャンペーンは成功を収めたものの、営業部隊には小さなどよめきが起こった。というのも、旅行業者としてはアマチュアのインフルエンサーの投稿した写真に、プロの旅行業者であるピーチの営業部隊が販促力で圧倒的な差をつけられたとも言えるからだ。「これまでの努力はいったいなんだったのか」、営業部隊にはそんな激震が走ったと井上氏は振り返る。しかし、逆に新たなビジネスチャンスの発見にもつながった。「CtoCのコミュニケーションを活用した、新しい旅のスタイルに大きな可能性を感じた」(井上氏)。そこで時代に合わせた新事業の開発の検討を始めたCOTABIの開発にはこんな背景がある。

 ピーチはCOTABIの本格開始に先駆けCOTABIのサイトを11月6日に開設。Airbnb、インフルエンサーと共同で開発した旅行プランを販売中だ。起用したインフルエンサーを通じてサービスを拡散して、COTABIを疑似体験してもらうことで、本格開始時までにサービス認知度を高めることを狙う。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)

日経トレンディネット 2017年11月10日付の記事を転載]