子供の縄文人気はEテレから

 一方、アニメーションから縄文を知る子供たちもいる。映像作家の井上涼氏が手がけるアニメーションと音楽で、世界の美術作品を紹介するNHK Eテレの人気番組「びじゅチューン!」では、火焔型土器や中空土偶をテーマにした作品がある。

 「縄文展」と同時期に東京国立博物館で開催された、親と子のギャラリー「トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館」では、火焔型土器のレプリカが展示された。「なりきり日本美術館に訪れた子供たちが、そのまま縄文展を見に行くという流れも多かった」(東京国立博物館広報室)。

親と子のギャラリー「トーハク×びじゅチューン!なりきり日本美術館」の関連展示として火焔型土器のレプリカによるハンズオンを行った。「作品世界に没入してみると、美術とさらに仲良くなれるということを子どもたちに実感してほしかった」(東京国立博物館博物館教育課)
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「びじゅチューン!」の作品の中でトーハクの所蔵品にまつわる展示が点在し、子供たちが楽しみながら全館めぐれる仕掛けに

 文字を持たなかった時代に、高い技術力で独特の造形美を生み出した縄文人。縄文の、特に土器の美に衝撃を受けた岡本太郎は著書「日本の伝統」で、「これでもかこれでもかと、執拗にせまる緊張感。しかも純粋に透(とお)った神経のするどさ」と評し、「まるで異質で、ただちにわれわれと結びつけては考えらえない」と、現代に生きる日本人との美に対する観念の断絶を指摘した。

 かわいいと感じる人、すごさ、恐れを感じ取る人、感情移入する人。さらには、“アソビ心”を刺激される人――。言葉を超えた根源的な何かを求めて、人々は縄文に吸い寄せられ始めている。

 「あの原始的なたくましさ、純粋さにふれ、今日瞬間瞬間に失いつつある人間の根源的な情熱を呼びさまし、とりかえすならば、新しい日本の伝統がより豪快不敵な表情をもって受けつがれるのです」(岡本太郎『日本の伝統』[光文社知恵の森文庫]より)

(文/北川雅恵=日経トレンディネット)

[ 日経トレンディネット 2018年10月24日付の記事を転載]