今年に入ってクレーンゲームがブレーク
ファミリー向けのゲームセンターや、ショッピングセンターなどのゲームコーナーでクレーンゲームをよく見かけるようになった。クレーンゲームは以前からあったのだが、最近になって急に増え始めたように思う。「これはトレンドではないか」とニュースなどを調べてみたところ、確かに今年の夏以降、クレーンゲームで遊ぶ若者の姿を紹介するニュースが増えている。
夏休みに入る学生をターゲットにして、夏前にクレーンゲームを設置した店が多いようだ。夏休み前の半月で1000台も販売したネットショップもあるという。価格は古いタイプで3800元(約6万円)、新しいタイプで5000元(約8万円)くらい。アームが2つある機種は6000元(約9万6000円)と高めだが、1日200元(約3200円)は稼げるので、1カ月で元が取れるとのこと。
それにしても、景品のぬいぐるみがかわいくない。日本のキャラクターっぽいのもあるが、何かが違う、明らかに違う。それでもゲーム性が魅力なのか、多くの人々が“かわいくない”ぬいぐるみを取ろうと金を落としていく。
クレーンゲームは家族連れやカップルに人気
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現金を直接投入するのではなく、専用コインを購入する
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本物とは微妙に違うのだが、一周回って逆にかわいい!?
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中国オリジナルのキャラクターは筆者の感性が受け付けない
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ギャンブル性の高いクレーンゲーム「烟烟机」
クレーンゲームは中国語で「娃娃机」という。直訳すれば「ぬいぐるみマシン」だ。一方で「烟烟机」と呼ばれるクレーンゲームもある。直訳すると「たばこマシン」。ぬいぐるみではなく、たばこが景品なのでこう呼ばれる。こちらはターゲットが大人なので、“実入り”で言うと娃娃机よりも烟烟机のほうがいいという。
烟烟机は、低所得者層が暮らす地域で目立つようになってきた。また、2元、8元、40元、80元といった価格が書かれたたばこをゲットすると、相当額の現金と交換できるというギャンブル性の高いものも登場している。
そんな中、烟烟机に数百元(数千円から1万円近く)を投じた男性のニュースや、夜間にゲーム機のガラスが破壊され、景品のたばこが盗まれたというニュースが報じられた。烟烟机を設置することによる治安悪化も懸念されており、地元公安がゲーム機を撤去した、設置した店の店長を逮捕したといったニュースも流れている。
烟烟机のニュースだけではない。動画サイトには、娃娃机の達人を自称する美女の実況動画も登場している。娃娃机のブームに便乗したビジネスはまだまだ増えていきそうだ。
烟烟机に大金を投じた男性のニュース
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3人組の男が夜間におので烟烟机を破壊
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ネットでは「クレーンゲームアイドル」も登場
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執筆者/山谷剛史(やまや・たけし)氏
NNA所属。海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国アジア専門のITライターに。連載に「山谷剛史の「アジアIT小話」」、「山谷剛史のマンスリーチャイナネット事件簿」、「中国ビジネス四方山話」など。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)、「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)など。
[日経トレンディネット 2016年10月27日付の記事を転載]
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