家電製品をネットワークに接続し、一元的に制御することで自動化された快適な生活を実現するスマートホーム製品。今話題の「Google Home」「Amazon Echo」「Clova WAVE」などのスマートスピーカーも、家電を声で制御できるスマートホーム製品ともいえる。
いわば家全体をロボット化させるスマートホームは、SF映画に出てくる「未来の家」そのもの。基本、面倒くさがりの筆者はできれば座っている場所から移動せず、すべての家電を手元で操作したいし、ゆくゆくは音声だけでコントロールしたい。命令するだけで家庭内の電化製品がすべて動けば、まるで王侯貴族のような気分を味わえるはず。日本ではまだ対応製品がいくつか発売されているぐらいの段階だが、生活の利便性を向上させるために、筆者の自宅でも積極的に導入していく予定だ。
今回はそんなスマートホーム製品5製品をセット商品にした、マウスコンピューターの「mouse スマートホーム スターターキット」のレビューをお届けしよう。
スマートホーム製品を連携させてコントロールする「ルームハブ RH01」、赤外線で人の動きをキャッチする「モーションセンサー MS01」、電源のオンオフをコントロールする「スマートプラグ SP01」、遠隔操作で調光可能な「スマートLEDライト LL01」、ドアや窓の開閉を感知する「ドアセンサー DS01」がセットになっている。
価格はAmazonで2万4119円(10月17日時点)。音声アシスタント機能は実装されていないが、オールインワンで手に入る商品としては値ごろ感がある。
なおこのほかに、空気の汚れを監視する「PM2.5センサー PS01」(9980円)や空気の汚れを除去する「スマート空気清浄機 AP01」(3万4800円)が発売されている。
マウスコンピューター「mouse スマートホーム スターターキット」
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左上がドアセンサー、 中央がルームハブ、右上がスマートLEDライト、左下がスマートプラグ、右下がモーションセンサー
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セットアップは簡単だが、引っかかったのは……
本製品を使う前に行うセットアップは簡単。製品のコントロールに必要なルームハブの登録までは、基本的にメッセージに従って進めていくだけだ。ルームハブの設置方法についてもイラストで教えてくれるので、マニュアルを読む必要すらない。
ただ、ひとつセットアップで引っかかった。実はルームハブのWi-FiはIEEE802.11b/g/nにしか対応していない。スマホでIEEE802.11acのアクセスポイント(SSID)に接続していると、ルームハブでもそのアクセスポイントに接続しようとしてエラーが出るのだ。そのため事前にスマホをIEEE802.11b/g/nのアクセスポイントに接続しておく必要がある。
ルームハブの設置方法はアプリケーション上で案内されるので、マニュアルを参照する必要はない
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ルームハブに接続するACアダプターは入力100~240V、出力5V/1A仕様。仕様としては一般的なACアダプターも使用できる
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自宅の家電を自由自在に制御するためには、同梱したスマートホーム製品を使うか、一般的なリモコン付きの家電製品をルートハブに登録する必要がある。
同梱されているモーションセンサー、スマートプラグ、スマートLEDライト、ドアセンサーは、ルートハブとペアリングを行うだけで設定できる。そのための操作はそれぞれ異なるが、専用アプリ上に表示されるので迷うことはない。
一般的なリモコン付きエアコン、扇風機、テレビなどは手動で登録する。とはいってもブランド名やリモートコントローラーの型番などで検索して、対象機種を選択するだけなので難しくはない。もしリストに機器が存在していなくても、学習機能で登録可能だ。
なお、メーカーによって「リモコン型式」ではなく「サービス番号」が必要な場合もある。地味につまずくポイントなのでご注意いただきたい。
漢字で「三菱」ではなくローマ字で「mitsubishi」と入力することで、目的のリモコンの「サービス番号」を見つけられた
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三菱製ルームエアコンのリモコン登録にはリモコン形名ではなく、サービス番号が必要だった
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自宅にどう置いたのか?
以上のような流れでルームエアコン、スマートプラグ、ドアセンサー、スマートLEDライト、モーションセンサーのセットアップが完了した。かかった時間はトータルで30分程度。作業自体はそれほど難しくはない。
なお本来ならリビングに設置するべき製品だろうが、筆者は自宅にいるときは圧倒的に仕事場にこもっていることが多い。そこでルームハブは仕事場のテーブルに設置し、各機器は下記のようにセットアップしてみた。
・扇風機にスマートプラグを接続してコントロール
・ドアセンサーは仕事場の扉に設置して、開閉を感知
・スマートLEDライトは仕事場を出た廊下の天井に設置して点灯させる
・モーションセンサーは廊下奥に設置して、階段での人の動きを感知
扇風機にスマートプラグを接続した
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ドアセンサーは仕事場の扉に設置
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スマートLEDライトは仕事場を出た廊下の天井に設置
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モーションセンサーは廊下奥に設置
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どう使うと自宅が快適になる?
ルームハブと各機器を接続するだけでは、スマホが家電の集中リモコンになるだけ。本製品の場合、最後に機器同士が自動連携するための「スマートシナリオ」を設定することで、真価を発揮できる。
現在のmouseスマートホームはさまざまな組み合わせで連携設定が可能。ドアやモーションセンサーが変化を感知すると、LEDライトや電源プラグなどに設定した動作を実行できるわけだ。
今回は「階段の通過をモーションセンサーが検知したら廊下のLEDライトを自動的に点灯する」「ドアの開閉をセンサーが検知したら仕事場の扇風機を自動的に回す」「同じくドアの開閉をセンサーが検知したら廊下のLEDライトを点灯する」という3つのスマートシナリオを設定して、自宅の利便性を向上させてみた。
ドアの開閉時にLEDライトを指定の時間、指定の明るさで点灯するといった設定が可能。名称は自由に設定できる
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スマートシナリオは実行する時間帯(05~11時/11~14時/14~18時/18~05時)と曜日を指定できる
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設定したスマートシナリオは管理画面から個別にオンオフ可能だ
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使い勝手はどうなのか?
製品を数日利用してきたが使い勝手は悪くない。ドアセンサー、モーションセンサーは正確に動作しているし、外出先から家電製品の動作状況を確認したり、オンオフをコントロールできるのも便利だ。
一方、製品に対する最大の不満点は、音声アシスタント機能やスマートスピーカーに対応していないこと。しかしマウスコンピューターによればすでに技術的な実装&テストが始まっており、マイクロソフト「Cortana」やアマゾン「Alexa」への対応を予定しているとのこと。スマートスピーカーに今後対応すれば、音声での命令ができるようになり、使い勝手は大幅に向上するだろう。
現時点の製品でも、家庭内の家電環境は着実に快適になる。特に、電源のオンオフをコントロールするスマートプラグはさまざまな家電製品に利用できる。例えば「寝室のドアを開けたらジューサーを回す」、「お風呂のドアを閉めたら環境音楽を鳴らす」、「トイレのドアを閉めたらアロマの香りを漂わせる」など工夫次第でさまざまな用途を実現できる。
多くの読者にとっては、スマートスピーカーや音声アシスタントへの対応を待ってから導入するのが賢い選択肢だろう。だが、こうした発展途上の製品がバージョンアップして、日々進化していく過程を見届けるのも楽しいと筆者は考える。
外出時に屋外から家電製品を操作できるのは便利。消し忘れてもすぐ電源オフできるし、帰路でエアコンなどを運転できるのも重宝する
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スマートプラグは消費電力を記録している。利用時間の合計、消費電力の合計を週間、月間表示で確認可能だ
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(文/ジャイアン鈴木)
[日経トレンディネット 2017年10月24日付の記事を転載]
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