習慣をAIが把握する2つの学習手段

 AIは2つの方法を組み合わせて居住者の生活習慣を学習する。1つ目は、居住者がCasparと直接コミュニケーションを取る方法だ。モデルルームにはリビング、寝室、洗面所の3カ所にCasparと会話をするためのスピーカーが設置されている。このスピーカーに向かって、「Caspar」と呼びかけることでAIとの会話が始まる。Casparに音声で「カーテンを閉めて」といった指示を出すだけで、カーテンが閉まる。それによりいつ、どの機器を操作したかといったデータを蓄積する。

 ただし、音声による機器の操作データだけでは居住者の好みまでは把握できない。そこで、もう1つの学習手段として、居住者の行動データを用いる。AIマンションには壁に設置された照明のスイッチなど、さまざまな接点にセンサーが埋め込まれている。加えて部屋の角には居住者の行動を記録するカメラが設置されている。これらのセンサーやカメラで取得したデータを使って、生活パターンを読み解く。

部屋の角にはカメラが設置されており、このカメラで取得した映像でAIが人の行動を解析する
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照明のスイッチだけではなく、部屋のさまざまな場所にセンサーが設置されている
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 例えば、「Caspar おはよう」と話しかけると自動的に寝室のブラインドが上がり、カーテンが開いて、照明がつく。ただし、最初は好みに合わせて自動調整されるわけではない。もし明るすぎると感じた場合は自分で照明を消したり、ブラインドの上がり具合いを調整したりする必要がある。すると、センサーやカメラの映像を通じてそうした行動をAIが学習する。これを繰り返すことで、AIが居住者の好みを学習して、自動的に調整するようになる。

 このような部屋の設備を自動制御するためのAIは、部屋の戸棚に設置されたコンピューターで制御されている。AIは家庭内のネットワークを通じて、部屋のさまざまな設備の窓口となる機器に指示を出して操作する。この機器はインヴァランスがスマートホームを見越して開発したもの。ただし、現状は日本電機工業会規格(JEM)で定められた特定の端子を持つ設備だけしか対応していない。

AIマンションは寝室にもスピーカーが設置されている
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 これを拡張するためにインヴァランスでは現在、新たな窓口となる機器を開発中だ。新型の機器ではWi-Fiや赤外線通信、無線通信規格「Z-Wave」など、多数の通信規格に対応する。これにより、テレビを始めとする家電製品も操作可能にする。