京東が実店舗を展開する理由とは?
京東は、京東之家以外に、ネットショッピングの代行およびアフターサービスを行う「京東幇服務店」や直営のコンビニなどを擁しており、それらの店舗展開も強化している。
その背景には、人気スマートフォンメーカーのオッポ(OPPO)やビーボ(vivo)が実店舗を展開してシェアを急拡大したこと、ラオックスを買収した蘇寧(スーニン)電器が従来の実店舗と同社ECサイト「蘇寧易購」の連携によって売り上げを伸ばしたことなどがある。京東もまた、実店舗とウェブサイトの連携によって、インターネットを使いこなせない層を開拓しようというわけだ。
その意味で、中国メディアによく比較されるのがスマートフォンメーカー、小米(シャオミ)の実店舗「小米之家」だ。「スマート製品の無印良品を目指す」という小米は、そのコンセプトを実践する場として小米之家を展開し、徐々にだが固定層をつかみつつある。京東もまた「京東之家を複合型文化生活空間」にするという方針を打ち出しており、京東之家で京東限定販売の新製品発表をするという動きもある。
このため、京東も小米と似たようなコンセプトショップを展開していくとみる向きは少なくない。筆者が訪れた店舗に客がいなかった理由は分からないが、京東之家は、京東が自社の戦略を“仕掛ける場”として人気のショップに成長していく可能性は十分にあると思う。
執筆者/山谷剛史(やまや・たけし)氏
海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国アジア専門のITライターに。連載に「山谷剛史の「アジアIT小話」」、「山谷剛史のマンスリーチャイナネット事件簿」、「中国ビジネス四方山話」など。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)など。
[日経トレンディネット 2017年10月17日付の記事を転載]
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