LTEの通信速度はどのぐらい?

 また、Apple Watchの小さな筐体には、現在、ほとんどのスマートフォンで採用される、「nano SIM」のカードサイズですら大きすぎた。

 そこで、Apple Watch Series 3には、ソフトウエア的にSIMカードの情報を読み書きできる埋め込み型の「eSIM」に対応。スペースの削減に成功した。eSIMはちょうど標準化が終わったばかりで、小型の端末を中心に、徐々に採用が増えると見込まれていた。例えば、ドコモは夏モデルとして用意した「dtab Compact」がeSIMを搭載している。

ディスプレーをアンテナ兼用にしたり、eSIMを採用したりと、技術的な挑戦も多い
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 Apple Watch Series 3のeSIMが標準規格に完全準拠しているかどうかは現時点では不明だが、まだスマートウオッチでの採用例がサムスンやファーウェイなど、一部に限られる中では、かなり挑戦的な取り組みだ。

 さらに、半導体の集積化が進んだこともプラスの影響があり、Apple Watch Series 3に搭載されるデュアルコアプロセッサは、コンパクトながらSeries 2比で70%もパフォーマンスが向上しているという。

新世代のデュアルコアチップを搭載することで、パフォーマンスが向上
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 もっとも、LTEは、スマートフォンに搭載されるようなフルスペックのLTEではなく、アンテナの数を絞り、使える帯域も限定した「カテゴリー1」と呼ばれるものだ。カテゴリー1はいわゆるIoT(モノのインターネット)向けの規格で、下りの速度は最大で10メガビット秒。IoT向けセルラー通信規格の中ではかなり高速なほうだが、できることはある程度限られてくる。逆にそのぶん省電力で、スマートフォンほどの通信速度が必要ないスマートウオッチには最適な規格といえる。

 またデータ通信が主体のIoT用通信規格の中では、カテゴリー1は珍しく音声通話に対応しているのも、スマートウオッチ向き。既存のLTEネットワークとも互換性が高いため、ドコモやau、ソフトバンクをはじめとした大手通信事業者(キャリア)も導入しやすいのがメリットになる。

 世界各国のキャリアが一斉にApple Watch Series 3を販売できた背景には、iPhoneの販売で培ってきたアップルの強力な交渉力に加えて、こうした技術的な理由もありそうだ。

世界各国の通信事業者が続々と取り扱いを表明
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