ジムニーは“クロカン” SUVに寄せなくていい

――ライバルは?

 ジムニーにはライバルはいない。世界中探しても、これほど小さくて手頃な価格の本格4輪駆動車はない。この点は我々が守るべきこと。だから、前モデルより進化させることを大切にした。ハスラーやクロスビーなど、スズキには小さなSUVもあるが、作る側からすれば、ジムニーはSUVではない。ジムニーは“クロカン”(クロスカントリー車)で、乗り味などもまったく異なる。SUVに寄せる必要もないと考えた。

――4速ATの採用など昨今の小型車と比べ、古典的な部分もあるなと感じる。

 性能や使い方など総合的に見て、ATは4速で満足してもらえると判断した。他のことも含めて、お金をかけて高級感を出すなど色々なことができるだろうが、それでは意味がない。手ごろな価格であることが大切だからだ。

――新型もロングライフとなる?

 前モデルのように20年作り続けるかは分からないが、モデルライフはロングスパンで考えている。ただ、自動車はいま100年に一度と言われる大改革の時。時代に合わせた進化や対応が必要。しかし、ジムニーが失われることはないだろう。

――現状、ジムニーの中では、小型車となるシエラの人気が高いようだが?

 年間販売目標では、ジムニー1万5000台に対して、シエラは、1200台と10分の1以下。この数字は、前モデルの販売比率をベースにしている。このため、現状ではシエラのほうが納品に時間がかかる。ただ、新型では視覚的な差別化が上手く図れた。1500㏄の新エンジンの性能に期待する面も大きいのではないか。この2点が注目される理由かもしれない。

ジムニーとシエラの内装は共通。水平基調のシンプルなデザインだが、ツール感も演出されている。オプションのカーナビは最上段に取り付けられるようになっている
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 ジムニーは、独自の世界観を持つ唯一無二のクルマであることが分かった。この機能とサイズだから選ぶ人たちが存在する。それは日本だけでなく、世界に共通して言えることだ。ジムニーの大きなマーケットは、米国やドイツだという。ジムニーでしかたどり着けない、そんな場所で活躍しているそうだ。

 時代に合わせて機能性や快適性が高められた20年分の進化は大きく、ジムニーは前モデルよりも身近になったと感じる。流行りの大きなSUVに乗るよりも、きっと面白いのではないだろうか。

(文・写真/大音安弘)

[ 日経トレンディネット 2018年8月6日付の記事を転載]