新しい国民の祝日として、今年から8月11日に「山の日」が加わったのはご存じの通り。ちょうどお盆休みに連なるタイミングだけに、12日の金曜日に休みを取得して長い休暇を取った人も少なくないのではないか。この時期は、レジャーや旅行の写真を撮ったりSNSに投稿する機会が増えるが、人に写真を公開するならば「センスがいいね」と思われたいのは誰しも同じだろう。
山の日を目前にした2016年8月10日、iPhoneでの撮影テクニックを紹介した書籍「LIFE and iPhone」を執筆した建築家の彦根 明さんと写真家の彦根藍矢さん親子が、「iPhoneで楽しむフォトグラフィー」をテーマにアップルストア銀座で講演した。「ちょっとしたテクニックがあれば、iPhoneを使って誰でもセンスあふれる写真が撮れる」とアドバイスした。
料理撮影の意外な厄介者がLED照明、色味の補正が肝心
登壇した彦根 明さんは、仕事で建物の写真を撮影する機会が多かった。だが、普段使っているiPhoneで目にしたものを撮影していったところ、たまたま仕事で一緒になった編集者の目に留まり、写真家として活躍する藍矢さんとの共著で書籍として刊行することになったそうだ。
iBooksで電子書籍版もリリースしたが、「バックライトを通して見る電子書籍版のほうが、我々がiPhoneで撮影した際に感じたものをそのまま見ていただけると思う。閲覧のしやすさも優れるので、ぜひ電子書籍版で見てほしい」とコメントした。
まず、多くの人が撮る機会の多い料理の写真の撮り方については、藍矢さんが「構図も大事だが、それ以上に光源に気を配って撮影してほしい」と解説した。
「食べ物の写真は、何よりも色が大事。色が悪ければおいしそうに感じられず、写真の印象は悪くなってしまう。理想的なのは、店内の照明に頼るよりも、窓越しに差し込む日光を使って逆光状態で撮影すること」(藍矢さん)。席が選べるならば太陽光が差し込む窓際の席を確保し、窓に対面するように座るのがよいということだ。
店内の照明を使って撮影しなければならない場合も多いが、昨今は状況が悪くなりつつあるという。理由は、LED照明の普及だ。藍矢さんは「かつてお店の照明に使われていたハロゲンライトは自然光に近い高演色なので暖色系に仕上がり、料理がおいしく見えた。だが、LED照明だと全体が緑がかって再現されることが多く、そのままではおいしそうに見えない場合がある」と指摘。「LED照明が使われている場合、アプリで黄色を増すように補正するとよい」とアドバイスした。
講演では、残念ながら店をたたんでしまったという焼き鳥屋でかつて撮影した写真を披露。天井まで届くほどの大きな窓は煙や油ですっかり霞んでいたが、明さんは「このガラスを求めて撮影しに行った」と語る。「ガラスが汚いので店内に差し込む光が柔らかくなり、人や食べ物がきれいに表現できた」と、光を拡散するためのディフューザーとして汚いガラスを利用したことを明かした。
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