「外から冷蔵庫が開く家」から「電波の屋根」まで
会場に入ってすぐにあるのは、「冷蔵庫が外から開く家」。ヤマトホールディングスと、プロダクトデザイナーの柴田文江氏のコラボレーションだ。一戸建ての家の、外壁と一体化した収納(その一部は冷蔵庫)が外からも内からも開けるようになっており、食品からクリーニングまで、宅配便の受け取りが留守中でもスムーズにできる仕組みだ。業者の対応だけでなく、家に荷物を出し入れする「もうひとつの出入り口」ができることによって、家族の行動も変わる。
パナソニックが建築家の永山祐子氏と組んだ「の家」は、IoTを徹底活用することで家を「モノ」ではなく「コト」の場に変貌させる提案だ。家自体は徹底して軽く、シンプルな膜のような壁に還元され、その白い壁がすべてスクリーンとスピーカーを兼ねる。この大スクリーンを介してスポーツ観戦や家族や友人との連絡はもちろん、家にいながら専門医の診療を受けられたり、海外にあるショップの服をバーチャルで試着して購入したりできる。
大東建託と建築家の藤本壮介氏による「賃貸空間タワー」は、賃貸住宅の再定義に取り組んだ力作。プライベートと共用を新たに分け直したのがポイントだ。これまでの常識とは逆に、専有空間を最小化して生活の大部分を共用空間に持ち出すことでゆとりを生み出し、住人同士の自然な交流をつくり出すアイデア。ダイニング、キッチン、バスルーム、ライブラリー、テラスなどを共用空間に出し、そこにゆったりとしたぜいたくな生活の場をつくる。小部屋となったプライベートスペースは少しずつずらして配置され、その間を短い通路や階段がつなぐ様子は、南イタリアやギリシャの小さな街を思わせる。
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