世界的に、若者がチル化している

――著書の中で、「世界的に若者たちがチル化している」という指摘がありました。

原田: 成熟国という意味では、世界も日本と同じ状況と言えます。経済発展をしている国では、一生懸命働けばその分給料が上がりますから、すごくアグレッシブで消費意欲も旺盛です。しかし徐々に低成長時代に入ると、生活はそこそこ豊かだし、がんばっても給料は上がらないし、欲しいものもないし、という「チル・ステージ」に入るのです。

 先進国の若者たちは、どの国もチル・ステージに突入しています。もちろん、日本もこのフェーズに入っています。特に日本の若者たちは安定志向が強く、優良な大企業に就職したいという気持ちが他国より強いですよね。

人手不足の中で、就活生にとっては有利な売り手市場が続く(写真/Shutterstock)
人手不足の中で、就活生にとっては有利な売り手市場が続く(写真/Shutterstock)
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――このチル化している若者たちをどのように捉え、どのように成長させていくのかが、多くの企業にとって課題になっています。企業側は彼らの特徴を理解して合わせるべきなのでしょうか。あるいは彼らが社会人になった時、彼ら自身が会社にフィットしていくものなのでしょうか。

原田: もちろん、彼らは就職した後に変わる部分はあります。ただ、昔よりは変わりにくくなっているのではないかと思いますね。というのは、今はどの企業も人手不足の問題が深刻で転職市場が活発なので、若者にとっては有利な状況にあるからです。2020年の東京五輪の後に不景気がやってくる、という話がありますが、仮にそうなっても、人手不足は人口動態の構造的な問題ですから、売り手市場は長期的に続くでしょう。

 若者たちもその状況を理解しているので、転職に対する抵抗はありません。その結果、自分に合わなければ会社を辞めてしまいますから、企業側は若者たちに迎合してしまう傾向が強いのです。

――転職には抵抗はないものの、基本スタンスとしては優良企業に入社して、長く勤めたい、という意識を持っていますよね。

原田: そうですね。チルっているので、就職するなら大企業。ちゃんと福利厚生を得ながら、いい人間関係を維持して、ワークライフバランスを保って、長く勤めたい、というのが日本の若者の望みです。キャリアアップしたい、という感覚はほとんどありません。

 その点、企業として業績を上げる、結果を出すという意味で言えば、彼らがチル化している分、育成に難儀しているケースは多いのではないかと思います。

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