悩みに共通する原因は「髪の絡まり」

 4タイプすべてに採用したのが花王独自の新技術「オート・セパレーション・テクノロジー」だ。実は4つの悩みに共通するのが「髪の絡まり」だという。そこで、オート・セパレーション・テクノロジーでは、従来の潤滑剤に水溶性の潤滑成分を配合した。油分と水分のバランスや分子の大きさなどを改良して、絡まった部分にも潤滑成分を行き渡らせて自然に絡まりがほどけるようにしたという。

水溶性潤滑成分が1本ずつ保護するため、水にぬれたままくしを通してもスムーズにほどける
水溶性潤滑成分が1本ずつ保護するため、水にぬれたままくしを通してもスムーズにほどける
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   とはいえ、水溶性の潤滑成分は、水と一緒に流れてしまう。そのため、これまでは油性の潤滑成分を使っていた。水溶性潤滑成分を髪の表面に薄くとどまらせ、髪の摩擦を低減できる今回の新技術はこのような背景において画期的だと花王は胸を張る。

「水にぬれると髪はガシガシと摩擦が大きくなってしまう。新技術で1本ずつ保護することで髪がばらつき、ぬれても摩擦が少なくなる。キューティクルのことを理解しているからこそこの技術に行き着いた」(亀田氏)。

 「10万本の髪1本1本に有効成分を浸透させることができ、速乾、熱スタイリング、ハネ寝ぐせ抑制、ダメージ修復といったそれぞれのケア成分の効果もアップすることができた」(渡邊氏)という。

花王ヘアケア研究所主任研究員の渡邊俊一氏
花王ヘアケア研究所主任研究員の渡邊俊一氏
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20~40代の女性がターゲット。「女性の就業率は7割を超えている」(花王ヘアケア事業部ブランドマネージャーの小林恵美氏)
20~40代の女性がターゲット。「女性の就業率は7割を超えている」(花王ヘアケア事業部ブランドマネージャーの小林恵美氏)
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 キューティクルを長年研究してきた花王だからこそ行き着いた水溶性潤滑剤を用いた新技術が、忙しい女性の救世主となれるか。

(文/北川雅恵=日経トレンディネット)

[ 日経トレンディネット 2018年7月12日付の記事を転載]

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