販売数増加の鍵は実店舗にあり
今年の上半期は、オッポが「R11/R11 Plus」を、ビーボが「X9s/X9s Plus」、ファーウェイが「P10/P10 Plus/P10 lite」を市場に投入した。これらの製品が3強の人気を支えているわけだが、その理由としては、家電量販店やケータイショップなどの実店舗で、必ずと言っていいほど目立つところで扱われている点が挙げられる。いずれもフラッグシップモデルとして、実店舗での販売に力が入っているのだ。
また、シャオミが復活を遂げたのは、「IT界の無印良品」を目指す同社が提案するスマートライフのコンセプトが共感される中、同社製品のコストパフォーマンスの高さが再認識されたということがある。実際、6月18日の「ECサイトの日」には「小米6」や「紅米Note4x」などが売れに売れた。加えて、もともと好調だったネットでの販売に加えて実店舗での取り扱いが増えたことも大きく、シャオミは昨年末時点で54店だった専門店「小米之家」を今年は200店まで増やすとしている。
一方、実店舗での販売台数で4位に甘んじたアップルは、店舗数も横ばいだ。今期は、中国人の必須アプリである「微信(WeChat)」のiOS版の一部機能が利用できなくなるという悪い材料も出ており、iPhoneの販売台数がさらに伸び悩む可能性もある。
また、販売台数が激減したサムスンは、ファーウェイ、オッポ、ビーボに比べ明らかに販売店での取り扱いが減った。その原因としては「Galaxy Note7」の発火問題で評判を下げたことに加え、地上配備型迎撃システム「THAAD」が韓国に配備されたことで反韓感情が悪化したということもあるようだ。
全体としては、製品の機能・性能よりも、オッポ、ビーボ、ファーウェイ、シャオミの実店舗での販売力に、その他メーカーが押され気味という印象を受ける。今後はネットと実店舗を合わせた販売力の強さが中国スマートフォン市場での生き残りの鍵になりそうだ。


海外専門ITライターとしてライター業を始めるものの、中国ITを知れば知るほど広くそして深いネタが数限りなく埋蔵されていることに気づき、すっかり中国アジア専門のITライターに。連載に「山谷剛史の「アジアIT小話」」、「山谷剛史のマンスリーチャイナネット事件簿」、「中国ビジネス四方山話」など。著書に「中国のインターネット史 ワールドワイドウェブからの独立」(星海社新書)「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)など。
[日経トレンディネット 2017年8月7日付の記事を転載]
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