バンダイナムコエンターテインメントは2017年7月14日、新宿歌舞伎町にVRアトラクションを中心にしたアミューズメント施設「VR ZONE SHINJUKU」をオープンした。入場は原則日時指定の予約制で、ウェブサイトで受け付ける。
VRアトラクションを中心にしたアミューズメント施設「VR ZONE SHINJUKU」。夜間は外観をプロジェクションマッピングで彩る
[画像のクリックで拡大表示]
VR ZONE SHINJUKUの特徴はまず大規模なこと。1100坪の敷地に立つ2階建ての建物に、15のアトラクションが並ぶ。VRを使ったアミューズメント施設は各地に登場しているが、それらの中でも最大規模になる。
2つめの特徴は、アトラクションの種類が多く、ドラゴンボール、マリオカート、新世紀エヴァンゲリオン、機動戦士ガンダムといった人気IP(ゲーム・アニメのタイトルやキャラクターなどの知的財産)を使ったものをそろえていることだ。
3つめは、HMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着して遊ぶアトラクションだけでなく、プロジェクションマッピングを使った壁を滑り落ちたりクライミングウォールを登ったりと“リアルな体験”ができるアトラクションがあること。施設オリジナルのメニューが楽しめる飲食スペースや、オリジナルグッズの販売コーナーもあり、VR目当てでない人も楽しめる仕掛けを用意している。
料金は入場料と4つのアトラクションをセットにした「1day4チケット」が4400円となっている。入場料は大人800円、子供500円で、各アトラクションは個別に当日チケットで遊ぶこともできる。
マリオ、ドラゴンボール、エヴァの世界に入れる
入場するとまず目の前に現れるのが、センターコアを呼ばれるARを使った木と壁だ。壁に現れる光にタッチすると反応するなど、ここでも遊べるようになっている。
センターコアの木と壁には色々な景色が映される
[画像のクリックで拡大表示]
オープン時点で遊べるアトラクションは14種類。施設は2階建てで、VRアトラクションの多くは2階に設置されている。階段を上がってまず目につくのは「マリオカート アーケードグランプリVR」だ。人気レースゲーム「マリオカート アーケードグランプリ」を題材にしたもので、HMDを装着してドライバーの視点になってレースに参加する。コースの変化に合わせて乗っている装置が動くので臨場感は抜群だ。つぶされそうになったり、相手に妨害されてスピンしたり、空を飛んだりと、盛りだくさんの内容になっている。
マリオカートのドライバーになれる「マリオカート アーケードグランプリVR」。一緒にプレーするドライバーと競うが、勝てなくても走っているだけで楽しい
[画像のクリックで拡大表示]
「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」は孫悟空に修業をつけてもらって、ドラゴンボールの世界でおなじみの、かめはめ波を撃つというもの。グッズ販売コーナーで売っている「VR仙豆」を持って参加すると、仙豆を食べる体験もできる。
「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」。プレーヤーの前にある装置が衝撃を送ってくる
[画像のクリックで拡大表示]
プレーヤーの目にはこんな景色が見えている。うまく撃たないとまっすぐ飛ばないところが“リアル”
[画像のクリックで拡大表示]
「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」は、エヴァンゲリオンに乗って出撃して、敵である使徒と戦うというもの。スタートすると、まずエヴァンゲリオンのファンならおなじみの搭乗してから発進するまでのシーケンスが楽しめる。出撃すると目の前には強力な使徒がいて戦うことになるが、かなりの難敵でちょっと勝てる気がしない。
「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」。もし自分がエヴァンゲリオンに乗って使徒と戦うことになったら、という体験ができる
[画像のクリックで拡大表示]
そのほかにも、昨年4月から約半年の期間限定で設置していたエンターテインメント施設「VR ZONE Project i Can」で人気だった「ガンダム VR ダイバ強襲」や「VR-AT シミュレーター 装甲騎兵ボトムズ バトリング野郎」などが楽しめる。8月には、広い空間を自由に動き回って最大4名対4名でチームバトルをする「近未来制圧戦アリーナ 攻殻機動隊 ARISE Stealth Hounds」がオープン予定だ。
ザクとガンダムの戦いに巻き込まれる「ガンダム VR ダイバ強襲」。ガンダムの手に乗って戦いの行方を目撃する
[画像のクリックで拡大表示]
こうした人気IPを使ったアトラクションが目玉と言えるが、面白いのはプレーヤーは特別な能力のある主人公キャラになるのではなく、ただの一般人である自分自身としてそのIPの世界に入ってプレーすることだ。
あくまで一般人なので、たとえば「ドラゴンボール VR 秘伝かめはめ波」ではかめはめ波を孫悟空のようにまっすぐ飛ばすのに苦労するし、「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」では敵にあっさりやられてしまったりする。この“自分自身があの世界に入っていったらどうなるのか?”を体験させてくれるのが面白いところだ。
空を飛んだり恐竜に襲われたり
人気IP以外にも楽しいVRアトラクションがそろっている。「極限度胸試し ハネチャリ」は、同社の人気アーケードゲーム「プロップサイクル」に着想を得たという、自転車型の人力飛行機で空を飛ぶゲームだ。山にぶつかりそうな低空飛行をしたり、洞窟の中を障害物を避けながら飛行したりと、上手に飛行してゴールにたどり着くのは大変だが、独特の浮遊感が気持ちいい。
羽つきの自転車で空を飛ぶ、浮遊感が味わえるゲーム。上手く漕がないと墜落してしまう
[画像のクリックで拡大表示]
「恐竜サバイバル体験 絶望ジャングル」は、立ち乗り式のスクーターに乗って襲ってくる恐竜から逃げるというもの。恐竜に攻撃されて捕まるとひどい目に遭ってしまうが、これがとにかく怖い。体験し終わった人(ひどい目に遭った人)が、皆一様に呆然としているのが実に印象的だった。
恐竜がいるジャングルに不時着した飛行機から逃げるという設定。脱出に成功する人は稀だとか
[画像のクリックで拡大表示]
そして、筆者が一番気に入ったのが「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」。ルアーフィッシングをして対戦相手と釣果を競うものだが、HMDを装着してスタートすると、まず目の前に広がる大自然の風景と音が心地良い。釣竿型のコントローラーを振ってルアーを泳がせ、魚がヒットすると竿の先にブルッと振動が伝わってくるが、この感触が快感だ。網型コントローラーですくうときの魚の暴れ具合も気持ちいい。対戦時間があっという間に感じられて、終えるのが惜しかった。もう1、2時間あの空間にいたかった。グッズ販売コーナーではゲームに登場する特製ルアーストラップが販売されている。もちろん購入した。
魚がヒットした瞬間や、すくいあげる瞬間の振動が楽しい「釣り VR GIJIESTA(ギジエスタ)」
[画像のクリックで拡大表示]
実際のルアーフィッシング同様に、竿先を水面につけるように下げてリールを巻かないと、魚がバレて(針から外れて)逃げてしまう
[画像のクリックで拡大表示]
今回VR ZONE SHINJUKUで新たに登場したVRアトラクションに共通しているのは、対戦や協力プレーなど複数人数で楽しめるものがそろっていることだ。一人で遊びに行っても楽しめるが、友人や家族と遊びに行けばさらに楽しめそうだ。
このほか、前述のVR ZONE Project i Canで人気だった「極限度胸試し 高所恐怖 SHOW」「急滑降体感機 スキーロデオ」「ホラー実体験室 脱出病棟Ω(オメガ)」「VR シネマティックアトラクション アーガイルシフト」が楽しめる。
VR以外も楽しい
HMDを使ったVRアトラクションだけでなく、1階には自分の体を動かして遊ぶアトラクションが用意されている。
「巨大風船爆発ルーム PANIC CUBE」は、閉じ込められた牢屋の中が舞台。だんだん膨らんでやがて破裂する巨大風船に怯えながらミッションをクリアしないと脱出できない。直径1.5mほどの風船で、大きい音を立てて破裂する瞬間はかなりの迫力。
パズル形式のミッションをクリアして脱出しないと、巨大風船の餌食になってしまう「巨大風船爆発ルーム PANIC CUBE」
[画像のクリックで拡大表示]
「バーチャルリゾートアクティビティ トラップクライミング」は、7m級のクライミングウォールだ。プロジェクションマッピングでコースを示してくれるが、登るのにかなり体力が必要だ。調子よく進んでいると、壁の穴からエアーが吹き出てきて思わず手を離して落下してしまうなど、なかなか意地悪な仕掛けがある。
「バーチャルリゾートアクティビティ ナイアガラドロップ」は、7mほどの高さまで引き上げられて、そこから落ちるというもの。落ちた先にはボールが敷き詰めてあって痛くはないが、垂直に近い状態で吊るされてそこから落下するのはかなりの恐怖だ。これもプロジェクションマッピングが使われていて、コースが滝になったり溶岩流になったりする。
クライミングウォールを使った「バーチャルリゾートアクティビティ トラップクライミング」。筆者は頑張ってレベル1をクリアしたが、数日間筋肉痛になった
[画像のクリックで拡大表示]
垂直に近い状態で落下する「バーチャルリゾートアクティビティ ナイアガラドロップ」。怖さに耐え切れず、吊り上げられる途中で手を離してしまう人も
[画像のクリックで拡大表示]
飲食ができるスペースも用意する。バーチャルリゾートアクティビティで絶叫する人たちを眺めながら食事ができる
[画像のクリックで拡大表示]
グッズ販売コーナーには、ここでしか買えないオリジナルグッズもある。VR仙豆も購入できる
[画像のクリックで拡大表示]
飲食スペースの奥には砂浜が設置されている。本物の砂が敷き詰められていて出入りは自由だ。プロジェクションマッピングで波打つ海を投影していて、その場にある丸い専用用紙を使って魚やカニをすくえるのが面白い。いわば巨大な金魚すくいだ。
目立たない奥まった場所にあるが、小さい子供でも楽しめそうな砂浜がある
[画像のクリックで拡大表示]
置いてある丸い用紙を使って、巨大な金魚すくいが楽しめる
[画像のクリックで拡大表示]
これまで様々なVRアミューズメント施設を体験してきたが、それらと比べてVR ZONE SHINJUKUは規模が大きいだけでなく、各VRアトラクションの出来もよく、VRアミューズメント施設として頭ひとつ以上抜け出している印象だ。人気IPを使ったアトラクションは強力な売りになるし、体を使って遊んだり、食事をしたり、砂浜で遊んだりと、VRが苦手な人が楽しめるのも強みになる。VRアミューズメント施設の中でも一番人気の施設になりそうだ。
(文/湯浅英夫)
[日経トレンディネット 2017年7月21日付の記事を転載]
Powered by リゾーム?