成人後の発症、原因に花粉症の増加

 厚労省研究班が2011年にまとめた「診療の手引き」によると、乳幼児を中心とした2478人に対する調査で、鶏卵が38.7%で最も多く、牛乳(20.9%)、小麦(12.1%)などが上位を占めた。これに対し、国立病院機構相模原病院(相模原市)が実施した2009~2011年の患者調査(対象153人)によると、成人はリンゴや桃、梨などの果物・野菜が48.4%で最多。以下は小麦(15.7%)、エビやカニなどの甲殻類(7.2%)と続いている。

 果物や野菜が成人に多いのは、花粉症の増加が原因と考えられている。すなわち花粉アレルゲンと果物・野菜アレルゲンの構造が似通っているため、すでに花粉症を発症している成人が、関連する果物・野菜を食べたときに体が花粉が口に入ってきたと勘違いして、症状が誘発される。しかし子どものころから食べ続けていたエビ・カニが、なぜある日突然食べられなくなるのか。その詳しいメカニズムは解明されていない。

 そして分かっていないことが多いからこそ、大人の食物アレルギーに関しては、「不必要な除去」を招くような情報が流布しつつある。

(文/山田真弓)

[ 日経トレンディネット 2018年7月2日付の記事を転載]

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