治るはずのものが治らず、そのまま成人

昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成氏
昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成氏
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 なぜ大人の食物アレルギーが増えているのか。

 食物アレルギーの有症率は乳児が5~10%、保育所児が約5%、学童が4.6%と報告されている(出典:「厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2017」)。こうした子どもの食物アレルギーの場合、子どもの間に治っていくことが多いのだが、「もともと治りにくい食物だったり、自己判断で除去を続けるなどして治るはずのものが治らなかったりして、そのまま成人してしまう場合がある」(昭和大学医学部小児科学講座の今井孝成氏)という。

 その成人の食物アレルギーの課題は何か。今井氏は「まず成人の食物アレルギーを診察できる医師が不足していること」という。「食物アレルギーは子どもが主体の病気のため、ほぼ小児科で扱う。内科で食物アレルギーを扱う病院は都内であっても非常に珍しい」(今井氏)

 診断できる医師がいないから正確な情報が広まらず、食物アレルギーが治る可能性があることが浸透しない、というわけだ。

 「子どもの食物アレルギーと診断されたなかでも卵・牛乳・小麦が原因の場合、多くのケースで自然に治る。ただし、なかには治らないケースもあるので、その場合は経口免疫療法など、少量ずつ食べていくことで治していくことが可能。現時点では40歳、50歳の経口免疫療法はやったことがないので判断はできないが、20歳くらいまでは診察実績があることを考えると、若くないと治らないということはないだろう」

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